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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
奇門遁甲(乙種)
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なんだよ? 聞こえないって!」
「だか……、しかけ……、トラップ…………、んとかしてくれ!」
「くっ、わかった、もういい。戻って来い」

 春虎は歯がみして雑音混じりの電話を切った。
 本陣と化した広場では総大将よろしく悠然とたたずむ土御門夏目の横で、伝令役の春虎や天馬が斥候部隊の連中と叫ぶようにやり取りを交わしていた。
 地には埋ずめ火(地雷)川には浮き橋(乗ると沈む足場)空を舞う天灯(小型熱気球)に気を取られて落とし穴にはまる……。
 罠やらなにやらで行動不能になった班はすでに六つ。一クラス四十人のうち五人一組からなる班を組んだため、残るのは自分たちをふくめた二班のみだ。そのもう一つの班が秋芳を追跡中なのだが――。
 春虎に電話がかかる。

「春虎っ、秋芳を見つけたぞ!」

 鼻息を荒げてそう報告してきた電話の主は中島。かつて春虎に『護法式がなんなのかも知らないようなのが、高等式なんか侍らせてるんだぜ? これだから名門様はよぉ』などとケチをつけ、そのためコンに手打ちにされかけたことがある塾生だ。
 彼の班は陰陽塾にしては珍しく、運動神経に自信のある体育会系の連中がそろっているので期待ができる。

「よし! それじゃあとっとと捕まえてくれ」
「OK! 急急如律令(オーダー)!」

 ザザザザッ!

 電話に雑音が入り、少し遅れて遠くから。

 ドドオォォォンッ!!

 まるで雷が落ちたかのような爆音がとどろき、空気を震わせ、広場にいる春虎たちにもそれがとどく。
 近くに見える小山。その中腹から無数の鳥たちが飛び立ち、白い煙がもうもうと上がる。

「ちょ、爆発でかすぎ! おい、中島。平気か? 返事をしろ!」
「ハメられた……、欺歩だ。熊や狐が巣穴に帰る時に狩人に追跡されないようにわざとちがう方向に進んで相手をあざむく……」
「おい! 中島、中島ッ!」
「自分が進んで来た足跡の上を同じように踏んで引き返す。そうすることで新たな足跡を残さずに戻って、途中でどこかの岩肌にでも飛び移ったんだ……」
「あ、なんかすごい説明科白だし、命に別状はないっぽいな」
「なぁ、春虎。オレ、最初の時に陰陽師のくせに木刀なんか振るってダサいだの、名門様がどうのこうのと、おまえにイチャモンつけただろ?」
「……ああ」
「ごめんな」
「お、おい! 中島、あんまり死亡フラグ立てるなよ」
「オレ、おまえが、うらやましかったんだ……、ぐふっ」
「中島っ」

 電話が切れた。

「くっ、中島……。バカ野郎……」
「春虎、どうやらぼくたちが出陣しなくちゃいけないみたいだね」
「夏目…」
「今の爆発で彼の居場所がわかった。残る戦力をすべてぶつける! 安倍と賀茂。土御門と勘解由小路……。かつては同じ陰陽の道を歩んだ
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