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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
奇門遁甲(乙種)
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たか、みなさんに知ってもらおうかと思います」
「乙種?」
誰かがそんな疑問を口にする。
「そうです。遁甲とは本来は兵法。つまり軍事技術のことなんです」
「え、うそ、本当?」
「本当です。山地の行軍、陣地の構築、水源の確保、敵陣の偵察、情報の分析、作戦の立案、兵糧補給。さらに傷病兵の治療や薬草の採取や処方。くわえて戦死者の埋葬と供養などなど、すべてひっくるめて遁甲です。日本は中国にくらべて戦乱が少なかったので、これら遁甲、兵法系の陰陽道はあまり発達しませんでしたが、応仁の乱あたりから急速に発展します。戦国武将が陰陽師を抱えたのは予言や調伏ではなく、実戦的な軍事的情報処理技術を求めていたからです。兵法系の陰陽道は情報分析と作戦立案が術の根幹をなしていて、まさしく軍師の意味合いそのもの。ちなみに本邦における軍師の嚆矢は奈良時代に遣唐使として中国に渡り、技術や知識、陰陽道の秘伝書である『金烏玉兎集』を日本に持ち帰った吉備真備と言われます。彼は藤原仲麻呂の叛乱のさいに、その軍略。中国仕込みの兵法三十六計をもってこれを鎮定しました。兵法三十六計とは――」
青空の下、講義は続く。
「さて、みなさんが今いる場所。ここ戦場ヶ原はその名のとおりかつて幾度も合戦があった場所です。蟹の怪異にとり憑かれた少女とはなんの関係もありません。戦国時代、このあたりは岡見氏という豪族が支配していました。岡見氏は佐竹・多賀谷といった近隣の大名からたび重なる侵略を受けていましたが、それらをことごとく撃退します。なぜならば岡見氏には『関東の孔明』と呼ばれた智将、栗林義長が仕えていたからです」
「誰?」
「そんな武将知ってるか?」
「関東の孔明とか、盛りすぎだろ」
「栗林義長の活躍は『東國鬪戰見聞私記』という軍記によく書かれています。授業と関係ないですが、俺は『信長の野望』シリーズをプレイする時。栗林義長、南条隆信、水野勝成の三人をかならず新武将で作ったり、能力をいじって高くしてます。あと自分の名前をつけた能力値オールMAXの新武将を作る人。先生、きらいじゃないですよ」
「ほんとに関係ねぇよ!」
「この栗林義長には母方の祖先は霊狐という面白い伝説があります。まるで安倍晴明のようですね。さてその義長が兵法を駆使し、佐竹・多賀谷の大軍を寡兵でもって迎え撃ったのがここ戦場ヶ原。と、言うことで、みなさんには本来の、乙種の遁甲を身をもって知ってもらいます。具体的には俺を捕まえてごらんなさい」
………… ………… ………… …………。
「「「「は?」」」」
「この広大な野原の中を逃げ回る俺をみんなで捕縛するのが今日の授業の課題です」
「あ、あの〜」
「はい、天馬くん」
「捕まえると言っても、秋芳君に本気で穏形されたり逃げられたり抵抗され
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