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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
奇門遁甲(乙種)
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使用した直後に結果が出る。やり直しや調整のきかない一発勝負であり、実戦で使用するには相応の覚悟が必要だ。如来眼に覚醒し、強力な霊力を得た今だからこそ、そのようにあえて危険な力を身に着けることで、つねに『強者の責務』を自覚することが必要だと判断し、雷法を伝授したのだ。

 さらにもうひとつ――。

「電撃でツッコミ入れろとか、あたしには理解できないわ…」
「恋人からビリビリ電撃喰らって『ダーリン、浮気はダメだっちゃ』て言われるのは男の夢なんだよ。いや、俺は浮気なんかしないから、なんかバカなことした時にそうしてくれ」
「う〜ん、ダメ。やっぱりわけがわからない…」





 それから数日後。
 関東某所にある野外演習場に向かうバスに揺られる京子の姿があった。
 いつもの制服姿ではない。塾指定の白いジャージを着ている。
 隣に座っている天馬は黒いジャージ姿。ジャージの色も制服と同じく、男子は黒、女子は白に統一されていた。
 他のクラスメイトもジャージ姿で、にぎやかに雑談していた。バスは陰陽塾の貸し切り。クラス全員で移動している最中なのだ。二人を除いて。
 賀茂秋芳とその使役式である笑狸の姿が、そこにはなかった。

「秋芳君から連絡あった?」

 隣の天馬がそう聞いてくる。

「ええ、さっきメールがきたわ『塾長に頼まれたことがあるので先に行ってる』ですって。いったいなんのことなのかしら?」

 今日は普段のカリキュラムにはない野外実習。陰陽塾では一年の間は座学が中心で実技・甲種呪術の講義数は少なく、内容もごく基本的なものだ。中にはそれに飽きがきている生徒もいて、今回のような外での講義は良い気分転換になる。

「今日はみんな肩肘はらんと楽にしたらええで〜、季節は秋。暑ぅない寒ぅない、良い陽気や。行楽や思うて、みんな楽しもう。あ、でも運動のできる、汚れてもええ格好でな」

 担任の講師である大友陣でさえこの調子なので、塾生たちも気を楽にしている。
 たしかに塾舎ビル以外の場所で講義というのは新鮮だし、クラスメイトたちとバスで遠出というのも楽しい。しかし妙な胸騒ぎというか、悪い予感のする京子だった。





 陽光がそそぐ緑豊かな草原。その名も戦場ヶ原。
 ところどころに丘陵があり起伏は激しく、どこか田舎のハイキングコースを思わせる。近くにキャンプ場があり、そこの林の中に開けた楕円形の広場に塾生たちは集まっていた。

「は〜い、みんな注目。今日はこれから特別講師の賀茂秋芳クンに講義を一席もうけてもらうで。ほな秋芳クン、バトンタッチや」
「はい、大友先生。それではみなさん、さっさくですが授業を始めます。今日は陰陽道の歴史と、乙種実技について学んでみましょう。野外活動ということで開放的な気分にな
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