ペルソナ3
1879話
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でもここは言っておかなければならない場所なのは、間違いなかった。
ここで下手に順平をいい気にさせて、結果として他の奴等に被害を出すような真似を出せる事だけは、避けたかった。
……そう、例え俺がここで順平に嫌われたとしても、だ。
「はっ、アクセルさんは強いからって人の気持ちを踏み躙ってもいいんですかね!」
ふてくされたようにそう言う順平。
取りあえず、自分が選ばれた存在であるという優越感をへし折る事は出来たから、これでいいか。
俺はそんな風に思ったのだが……
「ちょっと、順平! あんたいい加減にしなさいよ!」
「伊織、貴様少しはアルマーの事を考えろ!」
ゆかりと桐条の2人が、殆ど同時に床で寝ている順平に向かって叫んでいた。
「な、何だよゆかりッチも桐条先輩も……いきなり」
順平も、俺に何か言われるのは分かっていたのだろうが、まさかゆかりと桐条の2人に何か言われるというのは、完全に予想外だったのだろう。
自分が限界近くまで体力を使い果たしたというのを忘れたかのように、2人に視線を向けていた。
そしてゆかりと桐条の2人は、自分達が同時に口を開いたという事に驚き、同時に顔を見合わせ……照れたように、2人揃って視線を逸らす。
そんな2人の為にどこか微妙な空気になったが、その空気をどうにかするように、真田が口を開く。
「アルマーは少し言いすぎたかもしれないが、言ってる内容そのものには間違いない。順平、下手に自分を選ばれた存在だと思っていれば……死ぬぞ」
真田の口から出たのは、淡々とした言葉に近かった。
だが、それだけに順平には真に迫った言葉として聞こえたのだろう。
やがて、不承不承とではあったが口を開く。
「……すいません」
その謝罪の言葉が何に対する謝罪なのか、それは分からない。
だが、それでもこの場に流れていたギスギスとした雰囲気を一時なりともどうにかするには十分だった。
もっとも、順平の様子を見た限りでは、本当に自分が悪かったと思っている様子はないのだが。
恐らく……いや、間違いなく、俺に対する不満を内に秘めたままだろう。
取りあえず、それでも自分が選ばれた存在だとか、もしくはどこかゲーム染みた感覚でいるのを止めて貰えば、こっちとしては助かるんだが。
後のフォローは……有里にでも任せておけばいいだろう。
そう思って有里に視線を向けると、そこではどこを見ているのか分からないような、ぼーっとした様子の有里の姿があった。
……任せて大丈夫、だよな?
惚けているような有里の姿を見て、そう不安に思った俺は決して悪くないだろう。
ともあれ、その日はこれ以上タルタロスにいても意味はないだろうと、帰る事になった。
そして帰るのは、当然
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