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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
闇寺
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 なんだこいつのまとう『いじめてオーラ』は、実にけしからん! いじめてやりたくなるじゃないか。だが、だからといって安易にいじめるのも兆発にのったみたいで癪だ。平常心、平常心……)
「あ、あの。すみません、ごめんなさい。ほんとうは行きたいんですけど、わたしみたいな下っ端がお座席に上がるのはいけないと思うから、だから、その……」
「……よし、じゃあなにか適当にみつくろって持って来よう」
「え? い、いいんですか?」
「ああ。でも大した物は残ってないぞ」
「お膳に乗った物ならなんでもいいです! ごちそうです!」
「好き嫌いは?」
「ありません!」
「そうか。しかしウサギの生成りってことはやっぱ――」
「あ、ニンジンですか?」
「……ウサギって自分のうんこ食べるよな?」
「食べません! いや、ウサギはたしかに自分のうんこ食べますけど、わたしは自分のうんこなんて食べませんから! て、うんこって言っちゃったじゃないですか! 三回も!」
「女の子はあまりうんことか言わないほうがいいな」
「あなたが言わせたんです!」
「そういうしゃべりかたもできるんだな」
「え?」
「いや、あんまりおどおどしてたからさ。いじめて欲しくて誘ってたんじゃないかと思うくらいに」
「そ、そうでしたか?」
「ああ。でも、うんこうんこ連呼してた時は活き活きとしてたな」
「そんなに連呼してませんし、そんなので活き活きとするなんていやです!」
「だいぶ打ち解けてきたな」
「そうかも知れませんけど、そうかも知れませんけど!」
「じゃあさっきのお堂の所で待っててくれ。ちゃんとした物を持って行くから」
「え? あ、はい。わかりました。お願いしま――」

 その時。二人の足元が、地面が音を立てて崩れ落ちた。

「きゃッ!?」

 秋芳は片手で秋乃を抱きしめ、もう片方の手で岩壁から生えている木の枝をつかんだ。
 ぶんっ、と枝がしなり落下速度が落ちる。
 少し落ちると、また生えている枝をつかむ。
 ざんっ、と葉が鳴り枝がしなり、落下速度が落ちる。
 宙に体が浮き、次に落ちる。それらを繰り返して落下速度を殺しつつ落ちていく。
 着地。

「地盤が、ゆるんでいたみたいだな。ケガはないか?」
「はわわわわ……」
「離すぞ。立てるか?」
「はわわわわ……」
「その様子じゃ無理だな」

 気絶しなかっただけマシだろう。片手に秋乃を抱いたまま周囲を見まわす。
 すり鉢状に沈下したらしく、まわりを急な斜面にかこまれている。すり鉢というよりはシャンパン・グラスに近い。その底辺に自分たちはいるようだ。

(山中で極端に低い場所に長居は無用。有毒なガスが溜まる危険があるからな。乗矯術でひとっ飛びに……、うん?)

 岩壁にぼっかりと空いた洞穴を
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