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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
闇寺
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のだが、しきりに寺内の保守派を悪しざまに言い、改革派の主張を褒めそやしては同意を求めてくるのが厄介だ。

(こいつ自身が改革派のようだが、内輪の話に部外者を巻き込まないで欲しいものだ。俺を酔わせてあらぬ言質でもとらせようって腹か……)

 言にして信ならざれば、何を以ってか言と為さん。人の(ことば)と書いて『信じる』と読む。たとえ酒の席での口約束でも立派な約束、契約だ。めったなことは口にできない。

「……ところで理?法師」
「ん? なにかな?」

 秋芳が天井を指さす。

「少し前から俺の杯に呪詛毒を垂らそうとしているやつがいるんですが」
「なに!?」

 理?が思わず目を見張り見鬼を凝らすと、秋芳の膳や、その周りに盛り塩のように盛られた瘴気が蠢いていた。表面を微小な眼球がびっしりと覆い、不気味なことこのうえない。

「こ、これは蠱毒!?」

 本来蠱毒とは食事などに入れてもちいるもの。秋芳は幾人もの酔客を相手する間にも、この毒を避け続けていたのだ。

「たちの悪いいたずらだ。まぁ、死ぬような毒ではないようですが、まさかあなたの指示じゃないでしょうね、理?法師?」
「ちがう! 断じてちがう!」

 理?が狼狽して天井を見上げると、そこにあった気配が消えた。

「あ、あの狼藉者はかならず見つけ出して処分します」
「仏の慈悲を忘れず、お手柔らかに」

 秋芳はそう言って軽く呪を唱え、呪詛毒を祓う。
 闇寺ではよくあること。血気にはやった者が、こちらの実力を試そうとしているのだ。
 気を取り直してガブリと雉の丸焼きにかぶりつき、その肉を喰らう。
 美味い。
 あっさりとした脂身と滋味が口内を満たす。
 すると――。

「賀茂の若様は呪術のみならず武術にも長けているとか、文武両道とは流石ですね。一手ご教授お願いします」

 頭にターバンを巻いた青年が不敵な表情で声をかけてきた。その隣には竹杖を手にした黒髪の女性がいて、こちらも似たような表情を浮かべている。どちらも見ない顔だ。最近寺に来た者だろう。
「おまえたち、お客様に失礼な真似をするんじゃない!」

 秋芳は賀茂家の上客。下手なことをして気分を害されてはこまる。

「オレは猿渡幸兵。こっちは葉月静香って言います」

 だが理?の叱責もどこ吹く風。若者はそう自己紹介しつつ杯を差し出す。かすかに湯気が上がっていた。熱燗だ。

「俺はかまわんが、呪術の使用はナシでいいのか?」
「はい。オレ、呪術って苦手なんで」

 ずいぶん素直だな。
 熱い杯を受け取り、そのようなことを考えながら腰を上げた瞬間、ぶちかましが飛んできた。
 ぶちかまし。体当たりのことだ。

「おっと」

 料理の乗った膳が吹き飛ぶ中、酒の満
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