暁 〜小説投稿サイト〜
東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
闇寺
[3/15]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
な身体と白い肌は一見少女にしか見えない。
賢行はそれを好色な目で見つめている。
「賢行法師は稚児を愛でる趣味がおありで?」
この場合の稚児とは性の対象としての少年のことをさす。
「いやなに、愚僧はなによりも女人が好きですが、あれほど可憐なら男でも。という気になりますな」
この男は女好きの破戒僧として有名だ。
「口説いてみますか?」
「よろしいので?」
「ええ。ただしあれは狐狸の精です。精気を根こそぎ奪われることのないように気をつけてください」
「そ、それは……。はは、やめておきましょう」
賢行はそう聞くと毒気を抜かれ、そそくさと離れていく。
それと入れ替わるように一人の僧が酒を注ぎに来た。どことなく土佐犬に似た顔の太った男で、賢行とはちがい、きちんとした法衣姿をしている。
忠範という名の、元祓魔官の僧侶だ。
「このたびは酒席をもうけていただき、ありがとうございます。このような機会がなければ宴など開けませぬからな、みな感謝しておりますぞ」
とても喜んでいるようには見えない顔つきで感謝の言葉をのべる。
寺の住人の中には生真面目な者もいる。そのような者は奥に篭もり、乱痴気騒ぎをよそに日々の務めを果たしていることだろう。この忠範という僧侶もそのくちで、義理を立てに来ただけだろうか? そう思いつつ返盃する。
「ときに賀茂様は陰陽塾に通われているとか、ご学友についての例の噂ですが――」
土御門の次期当主とされる夏目こそ、かの夜光の生まれ変わり。どこに行っても耳にする定番の噂。それはここ星宿寺でも同様だった。
級友の身についてまわる噂に内心げんなりしつつも、噂の真偽はさだかではないこと、夏目自身の優秀さや、その式神をしている分家の者の人柄の良さなどを始め、陰陽塾という学び舎について丁寧に説明する。
忠範が去った後も幾人かと献杯と返杯を繰り返す。
広間の中には酔い潰れて寝転ぶ者も何人かでてきた。そんな中をしっかりとした足取りで進んで来る者がいた。
学者のような風体の阿闍梨。星宿寺の有力な幹部の一人で、名を理?という。
「挨拶が遅れてすまない。ちょっと用事があってね」
およそ僧侶には思えない気取らない口調だったが、どこか白々しい。軽薄な気配を感じた。
「さぁさぁ、もっと飲んでくれ。ここいらじゃ一番の地酒だよ。ところで――」
秋芳が杯を空にするたびに酒を注いでは、あれこれと質問してくる。
昨今なにかと取り沙汰される陰陽法改正の話、陰陽塾の授業内容、霊災の発生状況、双角会の動向、ウィッチクラフト社の式神について、賀茂家のこれから――。
どうもこの男、外の世界への憧れ、関心がすこぶる強い。
好奇心からあれこれ聞いてくるのはまだかまわない
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ