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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
闇寺
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な身体と白い肌は一見少女にしか見えない。
 賢行はそれを好色な目で見つめている。

「賢行法師は稚児を愛でる趣味がおありで?」

 この場合の稚児とは性の対象としての少年のことをさす。

「いやなに、愚僧はなによりも女人が好きですが、あれほど可憐なら男でも。という気になりますな」

 この男は女好きの破戒僧として有名だ。

「口説いてみますか?」
「よろしいので?」
「ええ。ただしあれは狐狸の精です。精気を根こそぎ奪われることのないように気をつけてください」
「そ、それは……。はは、やめておきましょう」

 賢行はそう聞くと毒気を抜かれ、そそくさと離れていく。
 それと入れ替わるように一人の僧が酒を注ぎに来た。どことなく土佐犬に似た顔の太った男で、賢行とはちがい、きちんとした法衣姿をしている。
 忠範という名の、元祓魔官の僧侶だ。

「このたびは酒席をもうけていただき、ありがとうございます。このような機会がなければ宴など開けませぬからな、みな感謝しておりますぞ」

 とても喜んでいるようには見えない顔つきで感謝の言葉をのべる。
 寺の住人の中には生真面目な者もいる。そのような者は奥に篭もり、乱痴気騒ぎをよそに日々の務めを果たしていることだろう。この忠範という僧侶もそのくちで、義理を立てに来ただけだろうか? そう思いつつ返盃する。

「ときに賀茂様は陰陽塾に通われているとか、ご学友についての例の噂ですが――」

 土御門の次期当主とされる夏目こそ、かの夜光の生まれ変わり。どこに行っても耳にする定番の噂。それはここ星宿寺でも同様だった。
 級友の身についてまわる噂に内心げんなりしつつも、噂の真偽はさだかではないこと、夏目自身の優秀さや、その式神をしている分家の者の人柄の良さなどを始め、陰陽塾という学び舎について丁寧に説明する。
 忠範が去った後も幾人かと献杯と返杯を繰り返す。
 広間の中には酔い潰れて寝転ぶ者も何人かでてきた。そんな中をしっかりとした足取りで進んで来る者がいた。
 学者のような風体の阿闍梨。星宿寺の有力な幹部の一人で、名を理?という。

「挨拶が遅れてすまない。ちょっと用事があってね」

 およそ僧侶には思えない気取らない口調だったが、どこか白々しい。軽薄な気配を感じた。

「さぁさぁ、もっと飲んでくれ。ここいらじゃ一番の地酒だよ。ところで――」

 秋芳が杯を空にするたびに酒を注いでは、あれこれと質問してくる。
 昨今なにかと取り沙汰される陰陽法改正の話、陰陽塾の授業内容、霊災の発生状況、双角会の動向、ウィッチクラフト社の式神について、賀茂家のこれから――。
 どうもこの男、外の世界への憧れ、関心がすこぶる強い。
 好奇心からあれこれ聞いてくるのはまだかまわない
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