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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
闇寺
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間にも三体の人形が襲いくる。
それらを躱して童子面のほうに駆ける。人形遣い本人を直接倒す。そう決めたからだ。
童子面の笙が怯えたように乱れると、それに合わせて人形たちの動きが早くなる。人には真似できない奇怪な動きと速度で秋芳の前に回り込み、童子面を守ろうとする。しかし秋芳はその人形たちを攻撃することも避けることもなく、ふたたび虚空にむけて蹴り一閃する。
「あっ!」
笙がやみ、うめき声がした。だがそれは男の口から洩れた声ではない。小面の、天鈿女命が声をあげたのだ。
それは女の、少女の声をしていた。
笙を奏でていた男が、人形たちがカタカタと硬い音を立ててくずれ落ちる。笙の男もまた人形だったのだ。そしてそれらを操っていたのは人形と見えた天鈿女命。
「真上から糸で吊り、操るのではなく。斜め方向から糸をのばし人形を操る。だから人形の頭上や背後に手をかざしても糸には触れない。誰も人形を操ってないように思える。さらに笙の音色で操っているように見せて、糸の存在を相手の意識からなくす。そもそも操ってるように見える人形遣いの存在自体がフェイクだ。いやはや巧みな乙種呪術だったよ。そしてそのようなことを可能にする人形遣いの技術も凄い。ここでずいぶんと面白い技を学んだな。後はおまえ自身の穏形を上達すれば言うことなしだな。ゆかり」
「ちっ、あいかわらず余裕ぶっこいてスカしたやつ。あ〜あ、つまんない。あんたがその笙の人形に攻撃してたら面白いことになったのにさ」
「火薬でも仕込んでいたのか?」
「ないしょ〜、次に戦る時に自分でくらって知りな」
「あいかわらず好戦的な女だな」
「降ろしたからって従順になると思うなよ。あたしはチョロインじゃないんだ」
少女はそう毒づいて小面とかつらをはずすと、ツインテールがふわりとたなびいた。彼女の名はゆかり。かつて秋芳が折伏した動的霊災。碓氷峠の撞木娘だった。
「ところで俺らはここに迷い込んだクチなんだが、おまえがいるってことは、ここって星宿寺なんだよな?」
「決まってるじゃん。誰があたしを『名づけ』て、ここに縛りつけたと思ってるのさ。あんただよ、あんた。ボケたの?」
降ろした霊的存在に名を与えることで、よりいっそう支配を強める。ゆかりにはそのような呪がかけられていた。
無縁の存在だった撞木娘に縁を意味する『ゆかり』と名づけたのは秋芳なりの心づかいだった。
「そうか。で、これってやっぱ密造酒だよな」
「それについては愚僧が説明します。賀茂様」
入り口に僧が立っていた。
黒い法衣に袈裟を着た初老の阿闍梨だ。だが初老といっても老いの気配はまったく感じられない。さほど大柄ではないのに、常人離れした霊圧を放っている。
「げぇ、じじい!」
「じょっ、常玄法師!」
秋乃
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