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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
闇寺
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 石門の正面に立った時、門の中心に北極星が見えるものを選んで、くぐる。
 無事に抜ける。似たような風景が広がっているが、石門と星座の配置は異なっていた。夏の星座だ。だが北斗七星の位置はけっして変わることはない。やることは同じだ。
 春、夏、秋、冬…。季節を一巡し終えて門をくぐると、陣に入った時と同じように周りの景色が歪み、陣の外へと抜け出た。

「わわっ、早い。もう出られたんですか?」
「ああ、たいした作りじゃなかったからな。なにか動きがあるはずだぞ」

 そう言い終わらないうちに玄武の描かれた壁が音を立てて左右に割れた。陣を突破したことで仕掛けが動いたらしい。

「よし、先に進もう」
「うう、こわいよう……」
「だいじょうぶだ、安心しろ。お兄ちゃんがついてる」
「ちがいます。あなたはわたしのお兄ちゃんじゃありません」
「…お兄様?」
「お兄様でもありません!」
「お兄ちゃま?」
「お兄ちゃまでも、あにぃでも、おにいたまでも、兄上様でも、にいさまでも、アニキでも、兄くんでも、兄君さまでも、兄チャマでも、兄やでも、あんちゃんでもないです!」
「中国語だと『兄』は哥哥(グーグー)、『妹』は妹妹(メイメイ)て言うんだ」
「そんなこと聞いてませんよ!」
「普段は『兄さん』て呼んでるけど、切羽つまった時とかに『お兄ちゃん』てなっちゃうクールビューティーな妹キャラって、好きだな」
「あなたの趣味嗜好とかも聞いてないですから!」
「怖じ気は消えたか?」
「え?」

(そうだ。さっきのうんこの時といい、この人はわたしの恐怖心をなくすために、わざとおどけているんだ。やだ、かっこいい。ほんとうのお兄ちゃんみたい)

「て、なに勝手に人のモノローグっぽくしゃべってるんですかッ! やめてください、そういうの! ほんとに! わたしもう、うんことか言いませんからっ! …ああっ!? また言っちゃった!」

 そんなやり取りをしつつ、道を進むうちに、石造りの道から板張りの道へと、装いがあきらかに新しい時代の建築物へと変わっていった。天井から裸電球がぶら下がり、細々とした光を放ち、闇を照らしている。

「どうも古墳から出たみたいだな」
「そうですね。…あれ? なんかここって、うち。星宿寺みたいな気が……」

 道が二つにわかれていた。左側のつきあたりにある扉から、強い光が漏れていたので入ってみる。小さめの体育館ほどの広さの部屋だ。甘い香りが漂い、理科室にあるような機材や器具がそこかしこに置いてあり、稼働している。

「これは……、蒸留器か。こっちは冷却器に、この蔦みたいな物は……、甘葛?」

 甘葛(アマヅラ)ブドウ科のツル性植物で、砂糖のなかった時代には甘味料として使われていた。
 清少納言の随筆『枕草子』の
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