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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
闇寺
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ねる強さも持ってるし」
「すみません。あなたがまたなにを言ってるのか、ちょっとわからないです」
「とにかくそれはいいものだと思う」
「……もぅ、わかりました。そんなに言うなら、見ててもいいですよ」

 そう言うと秋乃は眼鏡をかけ直し、自分の額を見るような上目づかいになった。ウサミミは小刻みに震え、霊気を感じとる。

「あ、なんかあそこの石の柱の周り。変な気が渦巻いてます」
「あれは石兵八陣と言って、まぁ、一種の結界だ。足を踏み入れた者は迷路のように入り組んだ結界内に閉じこめられ、出口を見つけられない限り永遠に中をさまようことになる」
「迷うって、あんな狭い場所なのにですか?」
「現実の空間ではない、呪術による異界化空間に飛ばされるんだ」
「ふぇぇ」
「だが妙だな」
「え? なにがですか?」
「なんで大昔の古墳内に『本物の』呪術をもちいた陣図が敷かれているんだ? 土御門夜光が生まれる前は呪術なんて……、いや確かに実際に効果を発揮する呪術自体はレアなケースだが実在してたし、これもその例か。いやしかし……、つうか、そもそもこの古墳はいつの時代の誰を埋葬したものなんだ? 奇門遁甲術が日本に持ちこまれたのは推古天皇の御世とされるが、だとすると――」
「あ、あの〜」
「うん?」
「もうここで行き止まりみたいだし、外に出ませんか? あんなおっかない結界のそばに、いたくありません」
「そのおっかない結界を抜ければ、たぶんまだ先があるぞ。ちょっとここで待ってろ。陣を破ってくる」
「ええ! そんな危険ですよ!」

 秋乃の声を背に、石陣へと入る秋芳。
 ぐにゃり、と周りの景色が飴を溶かしたかのように歪んだ次の瞬間、星々が皓々と輝く夜空の下にいた。
 見わたす限り野原が広がり、イギリスのストーンヘンジを思わせる、八つの石門が周囲に点在していた。

「正しい門をくぐりなさい、か……。ここは一つ、神仏の加護に頼ってみるとするか」

 八陣図の破り方は正しい方位と陣を知ることで開門、生門、休門などをくぐることだが、門に見立てられた魔力の源となっている呪物を破壊することでも強引に突破できる。
 秋芳の視たかぎり、この陣図にはさほど強固な呪は施されていない。いざとなればそうするつもりだ。
 星宿寺の山号は北辰山。本尊は鎮宅霊符神、妙見菩薩。妙見菩薩とは北極星を神格化した存在だと言われる。それならば北極星を足がかりに進もう。北極星はつねに北の空にあって動かない。見つけるのは簡単だ。
 空を見上げると季節はずれの春の星座が広がっていた。まずはおおぐま座を探す。すぐに見つかった。おおぐま座の中にひときわ明るい七つの星があり、これが北斗七星だ。
 北斗七星の柄杓の先、貪狼と巨門を結ぶ線を約五倍にのばした先にある二等星。これこそが北極星だ
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