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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
闇寺
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机の上に置かれた双六盤を前にして、京子は思案の表情を浮かべていた。
よく見れば双六盤には様々な図形や数字、漢字が書きこまれていて、その中央にはルーレットのようなものが、遁甲盤がはめ込まれていた。
奇問遁甲。
古代中国で発明された方位術。その起源は古く、伝説上の皇帝である黄帝が発明したとも、漢の高祖である劉邦に仕えた軍師、張良が神仙より授けられたとも言われる。
本来は兵学や地政学であり、行方をくらましたり、敵を罠に誘い込むのに利用された。伝説では『三国志演義』の諸葛亮がこれをよくもちいたとされ、夷陵の戦いで追撃してくる陸遜の兵をこの術で退けたと伝わる。
だが京子が取り組んでいるのは、甲種呪術としての奇門遁甲だ。
陰陽二気の動きに応じて姿を隠したり災難を避ける呪術で、天の九星と地の八卦の助けを借りて、八門遁甲とも言われる門の吉凶を読み解く。
この八門遁甲とは、生門、開門、景門、杜門、死門、傷門、驚門、休門。文字通り八つの門を持った陣で、その内側は巨石や石柱が並ぶ迷路になっている。
このうち無事に外へ出られるのは休門、生門、開門の三つで、それら以外の門をくぐると侵入者になんらかの害をもたらす。
八陣結界に迷い込んだ者はこのうちの一つを選び陣の外に出るか、あるいは永遠に陣の迷路を彷徨うしかない。この八門はその名にちなんだ影響をくぐる者にもたらし、死門をくぐった者には死を、驚門をくぐったものには狂気をあたえる。
奇門遁甲とは、そのような恐ろしい呪術なのだ。
京子の前にあるのはそれらを元にしたミニチュアで、盤図に組み込まれた術式を読み解くことで駒を進め、ゴールにたどりつくことを目的とした双六そのものになっている。
「土日は私用で出かける所があって訓練にはつきあえない。そのかわりこいつで遊んでてくれ。術式を読んで解除する練習、勉強になるし、ゴールしたらプレゼントもある」
そう言って秋芳は封印の施された小箱と自作の遁甲双六を京子に渡した。
京子の駒がゴールしたら小箱の封印が解け、中の物が手に入るという仕組みだ。
「男の子って、こういう遊び好きよね。よくこんな難しいの自分で作れたものだわ」
そう。この遁甲双六は秋芳自作の呪具なのだ。
「でもプレゼントってなにかしら? まさか結婚指輪とか? キャー! もう、やだ気が早すぎ!」
桃色の妄想に身をよじり足をバタつかせる京子。
「と、いけないいけない。秋芳君が帰ってくるまでにクリアして、びっくりさせてやるんだから」
気を取り直して遁甲盤にむき合う京子。
さて、その秋芳はいったいどこへ出かけたのかというと――。
葷酒山門に入るを許さず。
厳しい禅寺にはそのような戒めがあるが、この寺はその限りではな
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