番外編 青き恒星のヘラクロア
[4/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
で吹き飛ばされてしまう……というのが、その理由である。
搭乗者であるレッキへの負担を顧みたヘラクロア自身により、長らく封じられてきたこの技。「変異種」を破り、機械巨人族を救うには、もうこれに頼るしかない。
――それが、この身体を預かるレッキ自身の決断だった。
(ヘラクロア……君はきっと、怒るだろうな。許さなくても、構わないよ。……それでも僕は、撃つ。この一撃は、君の願った未来に必要な光だから!)
そして、荒れ狂う「変異種」の大顎がこちらに向かい――再びあの怪光線が放たれた瞬間。
ヘラクロアは電光を纏う両拳を、天高く振り上げ――それを「変異種」目掛けて突き出したのだった。
「共に、この宇宙の恒星になろう。――イグナイトブラスタァアァアァアッ!」
刹那。
蒼い閃光が、両拳から噴火の如く飛び出し――怪光線を弾きながら、「変異種」の傷口に突き刺さった。
喉から体内へと、破壊光線で串刺しにされた巨獣は断末魔を上げ――跡形もなく爆散する。
――そして、この強過ぎる輝きに押し出されたヘラクロアも。月面を飛び出し、遥か彼方の暗闇へと吹き飛ばされていた。
(……いいんだ。良かったんだよ、きっとこれで。なぁ……ヘラクロア)
母星から、故郷から果てし無く引き離され。永遠とも呼べる年月の中を、彼らは漂い続ける。
先ほどの破壊光線により、ヘラクロアのエネルギーも底をついてしまった。もはやレッキに、帰る術はない。
今も戦っているであろう、仲間達との約束は果たせなかったが。せめて彼らは戦乱を生き延びて、自由を掴んで欲しい。
そんな願いを、人知れず胸に秘めて――「変異種」との相討ちに終わったレッキは、ヘラクロアと共に暗闇の向こうへと消えていく。
――そして、この後。
機械巨人族は怪獣軍団と相討ちになる形で、滅亡した。
ヘラクロアが最期まで気にかけていた親友――タイタノアを遺して。
◇
――それから、数百年。生きているのか、死んでいるのかも曖昧になるほどの、永い年月を経て。
巨人と共に眠り続けていた男は、深い海の底で目を覚ました。彼らは宇宙を漂流してから僅か数年で、この惑星に墜落していたのである。
誰にも知られることなく、はるか海の底で眠り続ける戦友の骸。男はこの豊かな海で、彼の骸を安らかに弔うことに決めた。
――巨人の骸を離れ、陸に上がり。そこで男は、「地球」というこの星の名を知る。そして、役目を果たし眠りについた戦友と共に、この星に骨を埋めるため――真空寺烈騎と、名を改めた。
そうして、この星の住民……すなわち「地球人」として暮らしていく中で。彼は最近までこの星で起きていた戦乱と、その
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ