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赤き巨星のタイタノア
番外編 青き恒星のヘラクロア
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で吹き飛ばされてしまう……というのが、その理由である。

 搭乗者であるレッキへの負担を顧みたヘラクロア自身により、長らく封じられてきたこの技。「変異種」を破り、機械巨人族を救うには、もうこれに頼るしかない。
 ――それが、この身体を預かるレッキ自身の決断だった。

(ヘラクロア……君はきっと、怒るだろうな。許さなくても、構わないよ。……それでも僕は、撃つ。この一撃は、君の願った未来に必要な光だから!)

 そして、荒れ狂う「変異種」の大顎がこちらに向かい――再びあの怪光線が放たれた瞬間。

 ヘラクロアは電光を纏う両拳を、天高く振り上げ――それを「変異種」目掛けて突き出したのだった。

「共に、この宇宙の恒星になろう。――イグナイトブラスタァアァアァアッ!」

 刹那。

 蒼い閃光が、両拳から噴火の如く飛び出し――怪光線を弾きながら、「変異種」の傷口に突き刺さった。
 喉から体内へと、破壊光線で串刺しにされた巨獣は断末魔を上げ――跡形もなく爆散する。

 ――そして、この強過ぎる輝きに押し出されたヘラクロアも。月面を飛び出し、遥か彼方の暗闇へと吹き飛ばされていた。

(……いいんだ。良かったんだよ、きっとこれで。なぁ……ヘラクロア)

 母星から、故郷から果てし無く引き離され。永遠とも呼べる年月の中を、彼らは漂い続ける。
 先ほどの破壊光線(イグナイトブラスター)により、ヘラクロアのエネルギーも底をついてしまった。もはやレッキに、帰る術はない。

 今も戦っているであろう、仲間達との約束は果たせなかったが。せめて彼らは戦乱を生き延びて、自由を掴んで欲しい。
 そんな願いを、人知れず胸に秘めて――「変異種」との相討ちに終わったレッキは、ヘラクロアと共に暗闇の向こうへと消えていく。

 ――そして、この後。
 機械巨人族は怪獣軍団と相討ちになる形で、滅亡した。

 ヘラクロアが最期まで気にかけていた親友――タイタノアを遺して。

 ◇

 ――それから、数百年。生きているのか、死んでいるのかも曖昧になるほどの、永い年月を経て。
 巨人と共に眠り続けていた男は、深い海の底で目を覚ました。彼らは宇宙を漂流してから僅か数年で、この惑星に墜落していたのである。

 誰にも知られることなく、はるか海の底で眠り続ける戦友の骸。男はこの豊かな海で、彼の骸を安らかに弔うことに決めた。
 ――巨人の骸を離れ、陸に上がり。そこで男は、「地球」というこの星の名を知る。そして、役目を果たし眠りについた戦友と共に、この星に骨を埋めるため――真空寺烈騎(しんくうじれっき)と、名を改めた。

 そうして、この星の住民……すなわち「地球人」として暮らしていく中で。彼は最近までこの星で起きていた戦乱と、その
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