暁 〜小説投稿サイト〜
赤き巨星のタイタノア
番外編 青き恒星のヘラクロア
[2/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初
ろう!? 犬死にするつもりか!』

 ――そんな中、レッキと呼ばれた1人の機械巨人が、勇ましく進み出る。決死の覚悟の秘めた彼の背中に、同胞達は難色を示していた。
 青く逞しい肉体に、それを保護する真紅のプロテクター。白銀の鉄仮面に、黄色いバイザー。そして、雄々しくそそり立つ側頭部の双角。

 ――そんな凛々しい姿を持ち、仲間達からも一目置かれている彼が、止められているのは。一度「変異種」に敗れている、という過去が原因であった。

『……だからこそ、だ。この骸を託されて、なおも奴を倒せなければ……僕はそれこそ、この身体をくれたヘラクロアに顔向けできない』
『レッキ……』

 この青い機械巨人族を操る、異星人のレッキ。ひと束に纏めた亜麻色の長髪と、赤い瞳を持つ美男子である彼は――かつて、この機械巨人族の戦士「ヘラクロア」と共に戦う兵士だった。

 だが、先の戦いでヘラクロアは「変異種」に敗れ、脳を損傷。事実上の死に至り、その遺体であるこの巨体を、コントロールルームにいるレッキが操り続けているのだ。
 かつて共に戦った戦友の視点を持ったまま、レッキはこの遺体を弔うため――「変異種」に再戦する決意を固めたのである。

『……わかった、もう我々は止めない。だが、約束しろ! 必ず、生きて帰ると! さもなくば、ヘラクロアは決して浮かばれん!』
『あぁ、分かってる! ――皆も必ず、生き延びてくれッ!』

 ヘラクロアの遺体を操縦するレッキは、眼前の「変異種」に狙いを絞ると――瞬時に接近して背後に回り、太い首に組みついた。

『仇は必ず取る……! 付き合ってもらうぞ、貴様の墓場までな!』

 そのまま、怪獣軍団の群れを抜け――「変異種」を抱えたまま、レッキは遙か彼方に飛び去ってしまうのだった。

 ◇

 銀河の彼方で煌めく、無数の星々。その輝きと幾度もすれ違い、流れ着いた先に広がる灰色の大地へ――ヘラクロアと「変異種」は、転ぶように着地した。
 月面と呼ばれるその地を踏みしめ、ヘラクロアは一気に立ち上がり――再び、「変異種」目掛けて飛びかかる。馬乗りになった彼は巨獣の延髄に、手刀の雨を降らせた。

(見ていてくれ、ヘラクロア! 僕は必ず、君を勝たせてみせる! 君が、思い描いた――!)

 「変異種」は奇声を上げ、長い尾を振るい、何度もヘラクロアの背中を打ち据える。激しい振動と痛みに襲われ、レッキは苦悶の声を漏らすが――それでも、攻撃の手を緩めない。

 その脳裏には、今は亡き親友の言葉が過っていた。

 ――私はね、レッキ。タイタノアを憎んでなどいないんだ。彼は誰よりも、傷付くことの怖さを知っている。ただ、それだけなんだよ。

 ――周りも君も、彼を憶病者だと言うけれど。もし彼が、君のような異星人と変
[8]前話 [1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ