EX回:第23話(改2)<接待の苦労>
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。明日は07:00の出発と伺っております。朝食は食堂にて06:00から準備致しておりますので明日改めて、ご案内します。以上……です」
五月雨は敬礼をした。よく頑張ったな。
「ありがとう。もう良いよ」
私が言うと彼女は少し恥ずかしそうな表情をしてから一礼をして部屋を出た。
彼女が入口の少し重たいドアを閉めると自動で施錠される音が響く。あとは静寂。
「やれやれ……」
子供っぽいかと思ったが私はフカフカのベッドに勢いよく飛び込んでみた。バフッという音と共に私は布団に沈み込む。
「うん幸せ」
バカみたいだが、そんな台詞を言ってみたかった……まさかこの部屋に盗聴器は無いと思うが、あったとしても構わない。
ベッドの上で身体を回転させた私は仰向けに天井を見詰める。空調が利いているらしく窓は閉まっているが快適だ。もったいない、分不相応な居心地の悪さを感じる。
(なぜ私は、こんな接待をされて提督としてここに居るのか?)
ふと自問してみたが上からの命令だ。考えても仕方が無いだろう。
それに、こういう経験は積極的にしておいたほうが今後、美保鎮守府にゲストを迎えたときにも多少は良い接待が出来そうだからな。
「この前迎えたのは若い作戦参謀だったから大して気を使わずに済んだよな」
自分を正当化するように私は呟いた。
ふと横を見るとツインのベッドだった。私は半身を起こして改めて部屋の中を見た。
(ケッコンして嫁艦がいる提督だったら奥さんと一緒に泊まるんだろうか)
しかし私には嫁は居ない。だから今夜は、この部屋に独りだ。ちなみに秘書艦である祥高さんは廊下の反対側に独りで泊まっている。
ケッコンしていなくても秘書艦を嫁のように侍らせている提督も居るらしいが、さすがにそこまでの根性も無いし関係もない。
普通なら、このまま寝ていただろう。しかし何かが心に引っかかって落ち着かない。
(何だろう、これは?)
そう思いつつ私は何気なく入口のドアを再び開けてみた。
「あれ?」
廊下の先の窓辺に五月雨がまだ居る。
(別に誰かと交信しているわけでもなさそうだが)
そう思ってジッと見ていると彼女は、気配を感じたらしい。
「あ」
といって振り返って私と目が合った。
「す、済みません。すぐに戻ります」
激しく頭を下げ慌てて、その場を去ろうとする。
そんな五月雨を私は思わず呼び止めた。
「あ、いや。ちょっと……」
「はい?」
彼女は、なぜか嬉しそうな……いや逆に困惑したかのような複雑な表情を浮かべている。一瞬、時が止まる。
私も、なぜ呼び止めてしまったのか?
(廊下で見た彼女の後ろ姿が、何となく寂しそうに見えたんだ)
これは言い訳だな。でも何か放って置けない
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