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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
幼女伝
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類かと思ったが、どうもちがう。入神の法や離魂術と呼ばれる類の幽体離脱の術を使っているな。それって禁呪指定されてないか?」 

 帝式。正式名称は帝国式陰陽術。
 この系統に属する呪術はいずれも実戦的で強力な力を持ち、禁呪指定されているものも少なくない。特に魂に関連する呪術はだいたい帝式にふくまれる

「それに対して俺は現役の陰陽塾生だからな、街中で普通の術を使っても傷害や物損でも起こさないかぎり、まぁ平気っちゃ平気だ」

 今の時代。陰陽庁の定めた陰陽法により、甲種呪術の使用は有資格者にのみ許されていて、その使用に関しても厳密には細かい規定が設けられている。
 だが陰陽塾は陰陽庁は公式に認可している陰陽師育成機関であり、この塾生は『陰陽V種』の資格者。いわゆる準陰陽師に近い権利特別に与えられており、陰陽塾塾長の責任下において甲種呪術の使用が認められている。
 もちろん、だからといって街中で無分別に使っていいわけではないが、術を使っただけでは犯罪にはあたらず、それを理由に逮捕はできない。

「……あんた、なにが言いたいわけ?」
「とばっちりを受けたのはこっちのほうだ」
「はぁ!? 別に一緒に逃げてくれとか頼んでないし、それって言いがかり――」
「賀茂秋芳」
「え?」
「俺の名前は賀茂秋芳。よろしくな」

 そう言って手をさしだす。
 握手はもともと武器を持ってないことを示す行為だ。あまり欧米の風習を好まない秋芳だが、こういう時は握手にかぎる。
 不承不承ながら握手に応じる少女。

「……あたしは大連じ――」
 
ハッと言葉を飲み込む少女。

「大連寺?」
「だ、だ、ダイレンジャー好き?」
「は?」
「『五星戦隊ダイレンジャー』が好きかって聞いてんだよ!」
「あー、あの昔の戦隊ものね。三国志の登場人物をモチーフにしたキャラクターとか、中国武術とか出てきて、面白かったな。つか、それがどうしたんだ?」
「べつに。あ〜、あたしの名は春鹿。季節の春に動物の鹿で春鹿」
「鹿は秋の季語だが、春の鹿というのも趣があって良い名だな」
「ふん、褒めてもなにも出ないし」
「で、さっきの話の続きだが陰陽塾に興味があるなら色々と――」
『逃げられると思ったか? これ以上手をわずらわせるようなら、公務執行妨害も追加する』

 呪捜官の巡回車が回り込んで追ってきた。

「ああもう、しゃらくさいやつ!」
「次こそまくぞ」

 ふたたび始まる逃走劇。
 目前にT字路が迫る。

「春鹿。おまえは右へ行け」
「OK。あんたは左に逃げるって寸法ね」
「いや、ちがう。こうするんだ」

 春鹿が右へ曲がった後、秋芳は回れ右。180度反転して巡回車に向かって突進した。

『チキンレースのつもりか? フッ、
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