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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
幼女伝
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「――っ!」
「陰陽塾に興味があるんだろう? この制服を見てのとおり俺は陰陽塾の塾生だ。知っていることなら教えるぞ」

 少女の顔に逡巡の表情がよぎる。
 と、その時――。

『そこの二人。甲種呪術の現行犯で逮捕する。止まりなさい!』

 スピーカー越しの声。背後から黒い車体に陰陽庁のマークの入った車が、呪捜部の巡回車がこちらに向かって走ってくる。

「あ〜、うっざ。めんどいのに見つかっちゃった」
「まったく、必要な時には現れず、邪魔な時にかぎって現れる。警察と一緒だな」
「それ、言えてる」

 二人は制止の声に従うどころか、駆ける速度を速めた。

『おい。手間をかけさせるな』

 妙に不敵な呪捜官の声。エンジンをうならせ、二人を追跡する。

「自分で言うのもなんだけど、あたしの穏形はバッチリだし、あんたの穏形も……、まぁイケてるわ。それを見つけるなんて、あの呪捜官かなりできるんじゃない?」
「そこそこ見鬼に長けているのは事実だな」

 二人は巡回車をまくため、角を曲がり細めの道に入った。

『だから、余計な手間をかけさせるな!』

 なんと巡回車は片輪を浮かして狭い路地に入り、追いかけてきた。

「なにあいつ、しつこい!」
「モタモタするな」
「してないし!」

 繁華街から住宅街。そしてまた繁華街へ。二人は渋滞した道路を横切り、商店街へと跳躍。
 わずかな滞空、見事な着地、ふたたび疾走。
 肩を並べて大通りを駆ける。背後から鳴るクラクションによる猛抗議……。
 前方にフェンスが見えた。高さはニメートルを超えていて、よじ登るには少々時間がかかりそうだ。

「先に行って手を貸してやる」
「え?」

 少女の返事を聞かずに秋芳は猛然とダッシュし、フェンスの手前で横に跳び、壁を足がかりにもう一段ジャンプした。三角跳びだ。高々と跳躍してフェンスのてっぺんに飛びつくと、下にいる少女に手をさしのべる。少女はその手をがっちりと握りしめ――。

「「せーのっ」」

 少女の跳躍にタイミングを合わせ、秋芳が引っ張りあげる。フェンスの向こう側へと転がるように移る。

「よし、あの呪捜官も、まさかフェンスを突き破ってまで追っては来ないだろう」
「……つーか、あたしこのくらいの網。すり抜けられるんですけど」
「……そういえば、そうだったな」
「でも、ま。手を貸してくれたお礼は……。て、しないっての! そもそもあんたが追いかけてくるから術使ったんじゃん。あいつに見つかったんじゃん。あんたのせいじゃん!」
「術を使っても使わなくても、あいつにその姿を見られたら誰何されてたんじゃないか? それ、帝式の術だろ。それも魂をあつかう」
「へぇ……。あんたくわしいじゃん」
「最初は生き霊の
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