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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
幼女伝
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」
「ハァ!? あたしの身体って…。あんたロリペド? キモッ! マジでキモいキショいウザいゲスいんですけど」
「ちがうわ! その幽体のことについて興味があるんだよ」
「……」
「優秀な陰陽師とお見受けする。その霊妙な術について、ぜひお聞きしたい」
「やだ。なんで見ず知らずのあんたなんかに、あたしの術をタダでご教授しなきゃいけないわけ?」
「酒くらいおごるぞ」
「あたし未成年なんですけど」
「ならお茶をおごろう」
「は! なにそれ、結局ナンパじゃん」
「少し話すだけだよ。美味いお茶の飲める店を知ってる。三段トレイに乗ったケーキやスコーン。サンドイッチをつまみながら口にする紅茶は格別だぞ」
「……」
「苺とラズベリーのケーキにキャラメルカスタード、生クリームのシブースト……」
「……」
「日本茶が好みか? 本物の和三盆を使ったあんみつを出す店を知ってるし、コーヒーなら――」
「だ、だ、だ、黙れぇ! あたしは食べ物につられるようなガキなんかじゃねぇっ!」
そう叫ぶと少女はどこからともなく一冊の本を取り出す。単行本サイズのハードカバー。血のように赤い装丁をした聖書だった。
「式神作成!
急急如律令
(
オーダー
)
!」
掲げ持った聖書が光を放ち、風を受けたかのようにページがめくれ、ちぎれ飛び、あたり一面を乱舞する。
空を舞う聖書のページは折れ曲がり、張りつき、重なり合い、次々と形を成していく。現れたのはカラスの姿をした数十体におよぶ式神たちだ。
「隠形しているとはいえ街中で甲種呪術とは大胆だな!」
そう。少女も秋芳も穏形したまま走っていたのだ。これは並の芸当ではない。
「かかれ!」
主の命令を受けて式神たちは秋芳に群がる。だが攻撃するのが目的ではない。目くらましの煙幕がわりだ。
「禁群則不能集、疾く!」
群れを禁ずれば、すなわち集うことあたわず。
秋芳が口訣を唱えると、式カラスたちはてんで散り散りに飛び去り、一羽だけ突っ込んできたカラスは刀印を結び、切り伏せた。
「なに? 今のって持禁!? あんた呪禁師なの?」
「お、よく知ってるな。我ながらマイナーだと思うのに」
「呪禁……、道教をもとにした呪術で、呪文や杖刀をもちいて邪気や害獣を退ける。中でも持禁と呼ばれるものは気を禁じて物事の性質を禁じ、特定の行為を封じたり存在自体を消滅させたりする。律令制時代。典薬寮に医者として仕えていたが、陰陽道や仏教の台頭により衰微していった……」
書物に記された呪禁についての内容をそらんじる少女。やはりただ者ではない。
「そうだ。もしなんならそちらの術について教えてくれるかわりに、こちらの呪禁について教えるが…」
「興味ないし」
「なら、陰陽塾について話そう」
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