暁 〜小説投稿サイト〜
東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
幼女伝
[7/16]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
吸困難で地獄の苦しみだろうよ」
「そ、そっちが先に変なことしてきたんだし! あたし悪くないし!」

 少女はそう言い、きまり悪げにその場を立ち去る。

「うう、ま、待っ、うぐぇ〜」
「無理しちゃダメですよ、すず先輩。今は安静にしててください」
「よ、幼女。幼女が行っちゃう。ダメよすず、早乙女涼。こんなことでくじけちゃダメ。この前のことを思い出して。八歳くらいの美しい幼女を見かけて一日中尾行したでしょ。家に帰った彼女の様子を撮ろうと一生懸命庭の木に登ったら、天窓からシャワーを浴びてる幼女の姿が見えたじゃない。なんという喜び、なんという幸せ。努力すれば、あきらめなければ幼女の神様はかならず報いてくれるの。立って! 立つのよ、すず!」
(完全に犯罪者じゃないか)
(おかしな人だとは思ったけど、ここまで変だとは思わなかったよ。どうする秋芳?)
「負けない。幼女のためにも拙者は負けるわけにはいかないでござる」
「急になにその口調!? 拙者とかござるってなんだよ!」

 すず先輩の体から霊気が立ち上る。

「おお、これは精神が肉体を凌駕しようとしている!」
「う、うげぇぇぇっぷ。く、苦しい。し、死にそう……」

 ダメだった。

「しかたない。笑狸、ちょっとホールまで連れてってソファーに寝かしてやれ。それとこれで水でも飲ませてやれ」

 笑狸に硬貨を渡して少女の後を追おうとする秋芳。

「うん、わかった。ねぇ、秋芳。あの子って霊災なのかな?」
「それを確かめるのさ」

 間近に視て少女の気がおかしいことに気づいた。
人にあらず妖にあらず。生者とも死者ともいえない奇妙な霊気をまとっている。
 気になる。
 少女は秋芳が後を追ってくると気づいたらしく、ワンピースをひるがえし、駆け出した。
 かなり速い。
 少なくとも一般的な小学生女児の走る速さは超えている。さらに少女は雑踏の中を人も避けずに走っているのだ。
 人にあたってもすり抜けている。

(幽体か? だがさっきはすず先輩に物理的な一撃をくわえていた。やはりあの子はただの幽霊なんかじゃないな)

 対して秋芳は生身の人間だ。人ごみの中をつっきるわけにはいかない。これでは距離が遠のくばかり。と思えたが、華麗な足さばきで雑踏の中、人を避けて走り続ける。
 プロのサッカー選手は周囲の選手の動きを俯瞰して観て、その動きに対処するという。
 秋芳もそのようにして群衆の動きを読み、プロボクサーばりの流麗なフットワーク&ステップを駆使して少女との距離をつめる、八方目と軽功のなせる技だ。
 大通りに出たところで走りながら話しかける。

「まて、話がある」
「変質者と話すことなんかないし」
「俺をあの女と一緒にするな。その身体のことについて聞きたいんだ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ