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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
幼女伝
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な)

 霊災の発生がもっとも多いのは夕方から深夜。
 いわゆる逢魔が時から丑三つ時にまでの時間帯で、現役の祓魔官から見たら油断のできない一日の始まりだが、秋芳はこの時間帯が、朱に染まる夕方の学校や公園が好きだ。
 どこか怖い、けれども心惹かれる時間と空間。

「なにたそがれてるの、早く帰ろうよ」

 デニムの短パンから延びた白い脚もまぶしい快活な印象の少年。笑狸がせかす。

「別にいそぐ理由もないだろう。……ん?」

 陸橋の上に立ち、同じように陰陽塾を見上げる一人の少女の姿が目に映った。
 まだ小学生だろうか? 遠目にも胸元にレースをあしらっただけの白いワンピース姿が妙に浮いている。夏場の避暑地あたりにいれば絵になる格好なのだが、どこか違和感を感じる。

「あの少女、人じゃないな」

 秋芳の見鬼が少女のまとう人ならざる気を察知した。

「え? あ! ほんとだ。ていうか穏形してない? あの子。言われるまで気づかなかったよ」
「ほんとね。あれなら普通の人には見えないわ」
「わっ、誰この人? いつの間にいたの?」
「……今日は隠形の名人によく会う日だな」
 
 突然声をかけてきたのは先ほど秋芳が出会った二年の先輩だ。

「この子だぁれ? うちの生徒じゃないみたいだけど」
「一応俺の使役式ってことになってる化け狸の笑狸だ」
「笑狸です。秋芳の?伴(パートナー)やってます」
「ああ、自己紹介がまだだったな。俺は――」
「賀茂秋芳くんでしょ。知ってるわ。わりと有名だから。私の名はすずよ」

 『すず』と名乗った先輩は笑狸の全身を上から下まで、ゆっくりと視線を這わせ、一言。

「おしい」
「「なにが?」」

 思わずハモる秋芳と笑狸。

「だって男の子なんですもの。外見年齢も、もう少し若ければ……」
「幼女の式神を連れ歩く趣味はないんでね」
「ショタなの?」
「俺はノーマルだ。そんなことよりここでなにしてるんですか、すず先輩。まさか俺を待っていたわけじゃないでしょう?」
「当然でしょ。なんで私がむさ苦しい野郎なんて待ってなくちゃいけないの。自分が幼女にでもなったつもり? 自惚れないでちょうだい」
「ねぇ秋芳、この人……」
「言うな笑狸。この人は少しだけユニークなだけだ」
「私は彼女を待ってたのよ」

 そう言い目線を陸橋上のワンピース少女に向ける。

「私は街をさまよう悲しい幽霊少女を救済する使命を帯びてるの」
「なるほど。あの子をあなたの式神ハーレムの一員にするつもりですか」
「ちょ、あなた、なに言って、そんなわけないじゃない」
「術者の力量にもよりますが、動的霊災を降ろし。一度自分の式にしてしまえば、外見はわりと自由に変えられますからね。幼女タイプの狐狸精や
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