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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
幼女伝
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わめて高い。

「まー、できるけど。あんたそれフカシじゃないでしょうね?」
「やればわかるさ」

 そう言って秋芳も一枚の簡易式符を取り出して矢に象らす。

「式神作成! 急急如律令(オーダー)!」
「?、養由基、李広、呂布。この矢はずさせたもうな。哈っ!」

 秋芳はなにも呪文を唱えたわけではない。平家物語の那須与一が八幡神ら神仏に矢が命中するよう祈ったのと同様に、いにしえの弓の名手達に必中祈願したのだ。いわば乙種のおまじないに近い。
 勁を蓄えることは弓を引くかの如し。勁を発することは矢を放つかの如し。
 発剄による気を乗せた秋芳の矢は九嬰を貫き、春鹿の矢を象った数多の簡易人造式は九嬰の全身に突き刺さった。
 断末魔の叫びすらあげることなく、九嬰は消滅した。
 修祓完了。

「あ〜あ、とんだタダ働きだった。特別手当でも出せっての」
「……おい、おまえ体が透けてきてるぞ。だいじょうぶなのか?」

 秋芳の指摘どおり春鹿の体はみるみる色を失い、消えかけている。

「ゲ、ヤバっ。ちょっと力を使いすぎた。つかもう時間切れだっての? ああもう――あのさ、今日はなんていうか悪くないっていうか、その、え〜っと――」

 あわててなにか言おうとする春鹿だったが、あっという間に消えてしまった。
 完全に消え去る前の一瞬。ほんの一瞬だけ春鹿の姿が別の誰かに、プラチナブロンドのツインテールにゴスロリ風の服を着た少女の姿になった。
 今のが本来の姿だろうか?

「……本体に戻ったか。ま、あの調子なら無事に戻ってるだろうな」

 幼女好きの先輩はどうしてるだろう。
 秋芳も陰陽塾に戻ることにした。





 都内某所。
 陰陽庁の職員のために用意された宿舎で一人の少女が目を覚ます。
 とたんに肌を刺すような刺激を感じる。多くの陰陽師が利用するこの宿舎には建物全体に結界が張られているのだ。一定以上の呪力に対して自動的に負荷をかけて中和させる、安全対策の結界が。
 特に少女のいる部屋は特別仕様で、より強固な結界にくわえて、彼女を監視する術式までくわわっていた。
 許可なく外出することはもちろん、室内で呪術を行使することも基本的に禁止されている。いわば軟禁状態だ。

「陰陽塾……、あいつ以外にも。なんか面白い奴いるじゃん」

 少女の口元が自然にゆるむ。
 また明日にでも『抜け出して』行ってみよう。
 そう考える少女だったが、それができなくのは翌朝のことだ。
 誰にも気づかれることなく抜け出していると思っていたが、それはまちがいだった。
 朝一で宿舎を訪れた陰陽庁長官、倉橋源司の口から出神の法の使用禁止を命じられ、その手により呪力を大幅に制限される封印をされてしまったからだ。
 少女が陰
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