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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
幼女伝
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……つか多いの? タイプ・スペクター?」
「ああ、九月あたりからやたらとな。どっかのアホが不完全な泰山府君祭でもやらかして、冥界の道でも開けちまったんじゃないか?」
「――ッ!」
秋芳の思いつきの軽口を聞いて春鹿が顔をこわばらせる。
「ママのおうち、探してくれないの?」
少女の姿をした霊災はほろほろと涙をこぼした。
「もういい、お兄ちゃんたちも死んじゃえ」
少女の下半身が爆ぜ、無数の大蛇が襲いくる。
「げっ、なにコイツ。いきなり変生するとか生意気なんですけど!」
「朝日さし、小曽ヶ森のカギワラビ、ホダ になるまで恩を忘るな」
春鹿はとっさに霊体化することで攻撃を透かし、秋芳は蛇除けの呪を唱えることで防御した。
「
急急如律令
(
オーダー
)
!」
春鹿が呪符を投じた。火行符だ。
膨れ上がった火球が急速に収斂し、青白く輝く光の矢と化し、異形と化した少女に急迫する。命中するかに思われたそれは突如として出現した水の壁にはばまれた。
少女の下半身から無数に生えた大蛇が水を吐き出している。
「その姿は……、九嬰か!」
「は? なにそれ?」
「『淮南子』という書に記されている妖怪で、中国北部の凶水という沼沢地に棲み、上半身は美しい娘だが下半身からは九匹の蛇が生えている。水から上半身だけだして旅人を誘惑し、水の中におびき寄せ、むさぼり食うという。またその口からは火や水を吐くともいわれる」
「タイプ・スペクターでもレジェンドでもなくて、タイプ・キマイラだったってわけ? つかなんでそんなのが渋谷に出てくるのよ」
「さあな。……まぁ、渋谷の地下には大きな水脈があるし、水に属する霊災が生まれやすい環境ではある」
九匹の大蛇が鎌首をもたげ、大きく口を開く。
くる。
「俺は火を防ぐ、春鹿は水を」
「OK。て、テメェがしきんなよ!」
九匹の大蛇はてんでバラバラに火と水とを吐き散らす。
「禁火則不能燃、疾く!」
「邪なる水気をせき止めよ! 土剋水、
急急如律令
(
オーダー
)
!」
秋芳の術が火を、春鹿の術が水を無効化する。
「火と水とか、相剋関係の術を同時に使うとか、マジありえなくない!?」
「吐いたそばから水剋火で相殺したら面白いんだけどな。ま、うまいことできてんだろうよ」
二人とも余裕だ。
対する九嬰はというと大蛇による物理攻撃も、水と火によるブレスも効果なしとあって退き気味になっている。
「ハッ! 逃がすかっての」
春鹿は聖書を広げ、無数の式を打とうとする。
「春鹿、こいつの弱点はおそらく『矢』だ。式を矢の形にリライトできるか?」
伝承によれば九嬰は?という弓の名手に射られて退治された。矢による攻撃に弱い可能性がき
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