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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
幼女伝
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そんなしきたり古すぎてチョーうけるでしょ。だ、だから気になっただけ。それだけなんだけど……」

 どうも春鹿は陰陽塾そのものより土御門春虎について知りたいらしい。秋芳はプライバシーに深く関わらない範囲で春虎のことを教えた。
 夏休み明けに入塾してきたが、それまでは呪術と無縁の生活だったらしい。
 特技は呪符の早打ち。
 今まで十二回も車に轢かれかけたことがある。
 うどんが好き。
 虎柄のスカジャンを愛用。
 実技はそこそこ、座学は最低。
 普段どんなことを話しているか、そんなあたりさわりのない内容だった。

「ふ〜ん…。なんか普通。つまらないんですけど」
「もっとつっこんだことが聞きたいなら本人にでも訊ねればいいさ」
「じゃ、一応約束だしあたしのコレについても教えてあげる。あんたの読み通り出神の法をアレンジした、あたしのオリジナルだけど」

 出神の法。
 仙道にある幽体離脱の術。
 世界は陰と陽。二つの気からなり、さらに木火土金水の五気に分類される。人の魂もまた同じであり、魂と(はく)二つの霊体からなる。魂は精神を支える気にして陽に属し、魄は肉体を支える気にして陰に属す。二つ合せて魂魄と呼び、これこそがいわゆる魂だ。
 陽神のみを飛ばす幽体離脱では意識はあっても肉体がないため物をつかんだり人に触れることはできず、陰神のみでは疑似的な肉体こそあるものの本人の意識がなく、ただの肉人形に等しい。
 世界各地に伝わるドッペルゲンガー現象などは、これらの幽体離脱が原因ではないかといわれる。
 陰と陽。魂と魄を合わせて体外に出すことで、半体半霊の『分身』を作り出すことができるのだ。
 アストラル、エーテル、コザール、煉精化気、煉気化神、煉神還虚、還虚合同、小周天、順成人、逆成仙、星幽体投射――。
 専門用語をまじえた春鹿の説明は思ったよりも長い話になった。
 最初は気乗りしなかった春鹿だが、説明しているうちに熱が入ったらしく、秋芳が節々にもらす感想にも解説を入れる。
 話しは思った以上に盛り上がり、部分的、局所的だが、たがいに気心が通じたような気になった。

「あー、なんかあたしのほうが一方的に情報提供してない? 割に合わないんですけど」
「ああ、ドンペリでもルイ十三世でもいい。高い酒でもおごるからそれで帳尻を合わせてくれ。どうせその体ならいくら飲んでも二日酔いにはならないんだろ?」
「だからあたし未成年だって。お酒は飲んじゃダメなの。まぁ、お茶ならいいけど……。けど最低百万回はおごれ。そのくらいの価値はあったでしょ。今のあたしの話」
「ああ、おまえの話は実に面白かった。いいさ。じゃあさっそく――!」

 ぞわり。
 周りの空気が変わった。まるで気温が一気に十度は低下したかのような感覚。この気配は、瘴
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