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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
幼女伝
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甘いな。呪捜官をなめるなよ』
巡回車はスピードを落とすどころか急加速して秋芳に迫る。もはや捕縛どころか轢き殺すことも辞さない勢いだ。
衝突する瞬間、秋芳の姿がのっぺりとした
人形
(
ひとがた
)
の影法師と化し、ボンネットに乗り上げ、フロントガラスを覆う。
『なに!?』
これでは前が見えない。
巡回車は右へ左へ蛇行し、そのままT字路へと突進。壁を突き破って停止した。
ラジエーターから激しく蒸気が立ち上がる。
もはや走行不能だ。
「くそっ」
エアバッグを押しのけ、シートベルトをはずして車から降りた若い呪捜官が毒づく。
「簡易式を囮にしての変わり身。基本中の基本のフェイクにひっかかるとは…。だが、いつ変わったんだ……?」
見鬼の力には自信がある。それゆえこうも鮮やかにたぶらかされるとは夢にも思わなかった。認識不足だ。自分自身の甘さが憎い。
「だが式符を現場に残るような使いかたをしたのは素人の浅はかさ。式符に残る術式を調べれば、そこから足がつくぞ」
呪捜官がフロントガラスに貼りつく札を改めようと手をのばす。
式符が一枚。それに重なってもう一枚の呪符がある。火行符だ。
「な! しまっ――!」
火行符から火の手があがり『証拠』の式符もろとも灰と化した。
証拠隠滅。
「くっ……」
若い呪捜官が苦々しく歯噛みする。
失態だ。
こうした失態は己の若さと絶対的な経験不足の証だろう。自分はなまじ優れた能力を持つがゆえに『能力的に困難な局面』に直面すること自体が少ないのだ。これは自惚れではなく単なる事実である。実際『窮地を切り抜けた経験値』が少ないことは軽視できない問題だ。
くやしい。
だがこのくやしさと屈辱を糧に自分はさらに成長してやる。若き呪捜官はそう心に誓った。
「あっははは! あんたやるじゃん」
路地裏でけたたましく笑い転げるワンピース少女、春鹿。
秋芳は自分の気を乗せた簡易式を発動すると同時に火行符を仕込み、それを巡回車に向け突進させて、自身は縮地の術で春鹿のほうへと移動して共に離脱したのだ。
もちろんこの間も穏形を、禁感功を駆使しているため、呪捜官の注意は『気』の濃い簡易式のほうへと向かったのだ。
「穏形して街中を全力疾走。なかなか気持ちの良いもんだ。さて、と…。二度も邪魔が入ったがこれで落ち着いて話せるな。陰陽塾に興味があるんだろ? 俺の知ってることは教える。だから――」
「あー、わかったわよ。あたしの術も教えてやるから、その前にこっちの聞きたいことに答えてくれる?」
「ああ、いいぞ。答えられることならな」
「土御門夏目。の式神のことなんだけどさぁ、なんか分家の人間を式にしてるそうじゃん。今どき
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