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逆さの砂時計
Side Story
少女怪盗と仮面の神父 49
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かった。



 「適当に切り上げて、さっさと寝ろよ。王都は遠いからな」
 「はーい。おやすみなさい、神父様、お父様」
 ネアウィック村の中央階段上部で頭頂部に拳骨を一つ貰い、挨拶を交わした後、アーレストは教会へ、エルーラン王子はハウィスの家へ、自分は中央広場へ向かう。
 急いで戻らないと、女性達の怒声を浴びてしまいそうだ。
 何せ、約四百人分の料理と果汁飲料と酒。準備するのが大変なら、片付けるのは大苦行。人手が足りてないのは明白だった。
 主賓の扱いにしては雑な気もするが、ネアウィック村で過ごす最後の夜だ。全身の筋肉痛や倦怠感には目を瞑ろう。
 「あー! ミートリッテ、やっと戻って来た! おそーいっ!」
 「ごっめーん! 何を手伝えば良い!?」
 「こっちよ、こっち! ……はい、此処に立って。」
 「へ? あれ? ちょっと、手伝いは?」
 「良いから良いから。はい、海岸にちゅーもーくっ!」
 「か、海岸??」
 大勢の声が何重にも重なってガヤガヤと騒がしい中を縫うように走り抜け、にこやかな女性三人に背後を固められながら、中央広場の真ん中辺りに立たされる。
 と
 「「「みんな、いくよ!」」」
 ひゅるるるる……
 「「「せーのっ」」」
 
 「「「おかえり、ミートリッテー!!」」」

 ドオオォーーーーン!!

 「…………………………っ!!」
 女性三人の声を合図に、それまで思い思いの会話に興じていた村のみんなが声を揃えて叫んだ。同時に、色鮮やかな火の花が夜空を埋め尽くす勢いで咲き誇る。光の花弁がパラパラと舞い落ちる最中にも、次から次へと別の花が開いていく。
 「な、なな、な……っ」
 「ふっふっふー。驚きで言葉も出ないようね、ミートリッテ!」
 「あなたがアルフィンの為に頑張ってたって聴いたから、私達もあなたが眠ってる間に頑張ってみたのよ。職人代と火薬代と輸送費用、高かったんだから! 心行くまで堪能してよね!」
 「お疲れ様、ミートリッテ!」
 「「「おつかれーっ!!!」」」
 花火なんて高価な代物、通常は王都か街くらいでしか見掛けない。まして海に囲まれているこのネアウィック。湿気が天敵の火薬とは相性が悪すぎて、扱いもとんでもなく難しくなるというのに。
 「こ、こんなっ、めっちゃくちゃ贅沢なコトしてっ……」
 「贅沢よぅ? だから、こぉんな贅沢品を贈られたあなたには、それ相応の義務が生じます。」
 「義務!? やだ、なんか怖い!」
 「「「失礼ね!」」」
 「ふぎゃ!?」
 女性達がふるふる震える体を取り囲み、一斉に抱き着いてきた。
 「何処に居ても、元気でいること」
 「何処へ行っても、あなたはあなたでいること」
 「何処で何をしていても、故郷(ネアウィック)を忘れな
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