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KANON 終わらない悪夢
104金の卵を産む鶏
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大きくなると、銀行員が来てくれると初めて知った両親。
 秋子から見ても、あっという間に引ったくりに遭って盗まれそうな二人を見て銀行を呼んだ。
 この事務員の女性は美汐の親族で「天野」姓ではないが、全員天野で呼んでおけば間違いない。

 その後、両親は待合室で待たせ、栞とマコピーに話があると言って部屋に残ってもらった。
「折角栞さんが働いたアルバイト代を、了解も得ずにご両親に渡してしまいました、すみません」
「いえ、いいんです、医療費で大変な思いをさせたのは本当ですし、まだ返し足りないぐらいです」
 前世?の一弥からの鬼電で、天使の人形からは虐めの慰謝料として4500万貰い、結構な金持ちの栞。色々あっでまだ両親には渡せていない。
「そうですか? でもこれからはお金の管理は栞さん本人でして下さい、私も手伝います。ご両親は大きなお金に慣れていらっしゃらないようですから、ご家族を守るためにも、これからは必要経費だけ渡すようにして下さい」
「はい……」
 現金の束を見せると、明らかに眼の色が変わってしまった両親。管理を任せると破滅の未来が見えてしまい、とてもこれ以上の大金は預けられないと確信した秋子。
 これからは栞を教育して、自分が後見人として付いておかないと、新しく現れる親戚の食い物にされるのも簡単に想像できた。
「それでは次のお仕事です、まだ続けられますか?」
「はい、大丈夫です」
 果物をミキサーに掛けた、喫茶店の濃いジュースを二杯飲み、軽い貧血から脱した栞は元気に回答した。
「では真琴も一緒に。先程の金庫ですが、明らかに泥棒業者の物でした。依頼を受ける前ですが盗品は全部こちらで預かりましょう。サイコメトリーにかけて持ち主を探しても構いません、泥棒に一泡吹かせてやりましょう」
 ドラマや漫画でサイコメトリーを知っていた栞は、これから盗品の記憶を頼りに、持ち主を探して謝礼を貰うのだとばかり思っていた。
「はい、分かりました」

 秋子の補助により、貴金属を順に取り出し、現金や証券の類も根こそぎ回収して行く。
(あ… 真琴さんって、私とお母さんしか使えない術、すぐ使えるんだ)
 最初は同じようにポケットを使い、ゴッソリ取り出したマコピー。快獣さんにも妖狐の実力が分かったが、最後に片手では取り出せない物が残った。
「あの、大きくて重い物が三個、どうしても取り出せません」
「そうですか、ではポケット以外、鞄から物は取り出せますか?」
「いえ、できません、身に着けている物からだけです」
 色々相談して、座ったままスカートの中をポケットに見立てて引き出す事にした。
「大丈夫ですか?」
「はい、何とか」
 下からスカートに手を突っ込む恥ずかしい格好になり、目を瞑ってポケット(どこ?)を精一杯広げ、重い物を両手で引き寄せ
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