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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
骨喰
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海の神、名は禺強。四海の大神、百鬼を避け、凶災を蕩う。急急如律令(オーダー)!」

 ついさっき秋芳に教えてもらった帝式の陰陽術。本来は百鬼夜行を避ける、霊災の接近を防ぐ呪術だが、その構造は霊的存在に対する積極的な防壁。結界だ。
 京子はこれを、周囲に展開した。
 守りに守りを重ねる。京子は自身の防御を優先して式神による白兵戦で骨喰を祓うつもりなのか?
 否。
 さらに呪文詠唱が続く。
 こうして矢継ぎ早に術を行使している最中にも京子は骨喰の動きを把握し、白桜と黒楓を自在にあやつっている。
 骨喰の霊気の動きから、その挙動を事前に読み取る。そしてその動きのすべてに対応し、攻めと守りを繰り返す。
 二体の式神をフル稼働させつつ、みずからも呪術をもちいる。驚くべきは京子の霊力と集中力。式神使役の技術力だ。

「バン・ウン・タラク・キリク・アク。五行連環、急急如律令(オーダー)! 東海の神、名は阿明。西海の神、名は祝良。南海の神、名は巨乗。北海の神、名は禺強。四海の大神、百鬼を避け、凶災を蕩う。急急如律令(オーダー)!」

 同じ呪術を発動させると同時に白桜と黒楓を還す。刹那、骨喰が前方に吹っ飛んだ。

「ぐおぉぉぉッ!?」

 二発目の結界を骨喰の真後ろで発動。それも爆発するような速さで防御結界を展開させ、逃げる間をあたえず、先に作った京子の結界に衝突させ、挟み込む。

「ぐ、ぐぬぅぅ……」 

結界と結界。二つの圧力に押し潰され、骨喰の身にラグが走りまくる。みしみしという骨の、いや刀身のきしむ音が響く。

「ノウマク・サラバ・タタギャテイビャク・サラバ・ボッケイビャク・サラバタ・タラタ・センダ・マカロシャダ・ケン・ギャキギャキ・サラバ・ビギンナン・ウンタラタ・カンマン!」

 金剛手最勝根本大陀羅尼。
 秋芳に教えてもらった二つ目の呪術。不動明王の火界咒が身動きのできない骨喰の身を浄化の炎で焼き払い、完全に修祓した――。

「……終わった、のよね?」

 京子はあたりを見まわし、あやしい気配がないかを探る。

「ああ、修祓完了だ。残心も忘れないとは、偉いぞ。京子」

 最初にいた位置から離れた場所にいた秋芳が近づき、声をかける。

「あ、秋芳君。…そっか、あたしの結界の範囲内にいたんだっけ」
「て、俺のことは失念してあんな戦い方をしたのか?」
「てへっ☆ ごめんなさい。でもあなたなら避けるなり防ぐなりできたでしょ。実際そうしてるし」
「まあな。次は人払いの結界も自分でかけてくれよ。少々派手にやりすぎだ」

 一色宅の中庭は火事と台風が一緒に来た後のような惨状となっていた。

「そうか、それもあったのね」
「次からは周りにも気をくばって修祓しよう。現場にいるのが戦える陰陽師ば
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