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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
残照 3
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霊災修祓といった本格的な『呪術』の習得は二年からだ。
 しかし、独学。あるいは塾生同士での教え合いを禁止する決まりはない。
 秋芳は京子の頼みを快諾した。

「それと、霊力を制御する方法も。またあんなふうに暴走したら怖いわ」
「そしたらまたキスして止めてあげるよ」
「もうっ、そういう冗談じゃなくて……」
「霊力の制御に関しては気の持ちようだよ。それだけの技術を君はもうすでに持っている。毎朝禊をしているんだろう? あれがじゅうぶん霊力の底上げ。制御する訓練になっているんだよ。千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を練とす。同じ修行を欠かさずに続けることが重要なんだ。君は自分の〈力〉を怖がらなくてもいい」
「……うん、わかったわ」
「俺の知っている呪術を教えるかわりに、そっちの知ってる呪術も教えてくれ」
「それはいいけど…、あたしが知ってて秋芳君の知らない呪術なんて、たぶんないわよ」
「ある」
「そうかしら?」
「たとえば、恋愛」
 
 二人は少しの間見つめ合った後、どちらからともなくキスをした。





 陰陽庁長官室。
 重厚な印象の部屋だ。
 床には絨毯が敷かれ、奥の壁にある大きな窓からは秋葉原のビル群が見える。
 その窓の前に一人の人物が立っていた。
 袍に袴と石帯。束帯姿をしている。陰陽師の正装だ。
 厳格な、ただそこに居るだけで周囲の人たちに緊張を強いる雰囲気を持った、そしてまた内に秘めた強大な霊気をも、ひしひしと感じさせる巌のような壮年男性。
 倉橋源司。
 名門倉橋家の現当主にして陰陽庁の長官。
 『天将』の二つ名を持つ十二神将の筆頭。当代最高と謳われる国家一級陰陽師。
 陰陽塾塾長、倉橋美代の息子であり、京子の実の父親。
 現代の呪術界の頂点に立つ男だ。

「目覚めたか。思ったより早かったな」
「世が乱れれば如来眼の娘が生まれる。私の呼んだ者たちは役に立ったでしょう」
「うむ」

 源司は誰かと話しをしている。だが誰と? 声の主の姿はまったく見えない。

「しかし少々やりすぎだ。はぐれ陰陽師の一人や二人や有象無象の霊災ならまだしも、街一つ壊滅させるような怪物まで呼ぶとは」
「あの被害者の方々には便宜をはかるよう、閻魔大王にお願いしておきます」

 閻魔大王とはいったいなんの戯言か?
 だが声の主の口調に冗談を言っているような響きはなく。また、それを聞いた源司も冗談を聞いたふうには見えない。

「如来眼の他にも、こんな興味深いものを見つけました」

 デスクの上にハラリと一枚の紙が落ちる。
 それは答案用紙の写しだった。
 源治はそれを手に取って目を通す。

「陰陽塾のテストか……、いささか字は汚いが、なかなか優秀な生徒だな」
「最後に書かれた文章に
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