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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
残照 3
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スの一説が秋芳の頭にふと浮かぶ。
なるほど、たしかに京子の体は砂糖やスパイスで作られた甘いお菓子のようだ。
独り占めして食べてしまいたい。
「京子。おれはおまえが好きだ。つき合ってくれ」
キスをした後、告白。
きょとんとした顔でこちらを見つめる京子。
「返事は?」
「……え? ええっ! あ!? は、はい。うん……。あ、あたしも、あなたのことが、秋芳君のことが好き。おつき合い、しましょう」
それで、
京子の気が静まった。
激情をおさめるには別の激情をぶつければいい。
テンパっている時に嫌いな相手にいきなりキスされ、愛の告白をされたら。
あるいは逆にそれが好意を抱いていた相手からだったら。
とりあえず。
とりあえずは落ち着くものだ。
秋芳の賭けはあたった。
そしてまた両者にとって幸いなことに、今回は後者。相思相愛だった。
東京へ向かう電車の中。
あれから京子の状態を診るため鷹寛の家に一泊し、帰路についているところだ。
いろいろなことがあった。
疲れているのだろう。座席に座る笑狸と純は寝入っている。
その向かいの席に座る京子もまた、隣にいる秋芳の肩に頭をあずけて寝息を立てていた。
刻々と傾く陽射しに、京子の整った横顔が赤く染まる。
「……ん、……うん」
ふいに京子がくすぐったそうな甘い声をもらして、顔を上げる。
「……あたし、寝ちゃってたんだ」
「疲れてるだろう。もう少し寝ていればいい」
「いいの、今はあなたとお話したい気分だから」
「そうか」
それからとりとめのない会話をしばらく交わした後――。
「秋芳君。あたし陰陽師になる」
覚悟を込めてそう言葉にした。
「前から呪捜部とか、ちょっと後ろ暗い所だと思ってたけど、それは祓魔局だって同じだった。街が一つ消えたことを隠すような組織を正したいの」
秋芳は京子の考えをすぐに理解した。
「なるほど、中から正すつもりか」
「ええ、そう。そのためには『最高』の陰陽師になる必要があるわ」
隠蔽を指示したのは陰陽庁のトップの判断だろう。そして陰陽庁のトップとは京子の父親、当代最高の陰陽師と称される倉橋源治その人だ。
京子は父のやり方を正すつもりだ。だからこそ父に代わり『最高』の陰陽師になると言うのだ。
組織の長になることで、組織全体を改革する。
「それと、お願いがあるんだけど、あたしに呪術を教えて欲しいの」
これは百目鬼に囚われた異界の中。霊災修祓用の呪術に乏しく、はがゆい思いをしたからだという。
陰陽塾一年生の授業内容はほとんどが座学。それも呪術についての基本的な知識や、歴史についてがメインで、対人呪術戦や
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