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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
残照 3
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出ている。
 否。
 京子の体を通して大地の、天の気が集まっているのだ。
 天地に満ちる霊気が一点に凝縮される。
 道教に伝わる仙術や方術の中に法天象地という天地の気を集めて練り上げ、自分自身の体を巨大化させる術があるが、これはその比ではない。

(バカな! これほどの気。人の身で耐えられるわけが――!?)
「――せない」
「京子?」
「ゆるせない……。かなえちゃん、街のみんなを苦しめ、もてあそんだなんて、ゆるさない。絶対にゆるさない!」

 うなだれていた京子がすっくと立ち上がり、百目鬼をにらみつける。
 京子の紫がかった瞳の奥に、秋芳は星を視た。
 入塾初日の屋上で京子と語った時に『視た』あの光景。
 星々の衣をまとい、光輝を放つ京子の姿。
 それが今、現実のものになった。

「し、信じられん。あれは仏眼仏母の相。あの少女は……如来眼の持ち主だというのか?」
 鷹寛が絶句する。
 如来眼。
 豎眼(じゅがん)や菩薩眼。龍眼とも呼ばれるそれは、仏教においては菩薩の慈悲を体現する力とされ、道教においては龍脈の流れを見極め、変える力があるとされ、その時代の覇者を導くという。
 世の中が乱れるとそれを鎮めるために如来眼の持ち主が現れるともいわれ、またその逆に手中に収めんとする時の権力者らに狙われることで、治世を乱す火種になるともいわれる。
 本来ならば星読みとは星を読むことはできても、星を動かすことはできないもの。
 星々の流れを変えることも、その輝きをあやつることも。
 星読みにできることはただ見守ること。そして、その言葉の持つ力を信じて助言し続けることだけなのだが――。
 京子に宿る力は、そうではない。
 星読みの中の星読み。
 人の定めのみならず、龍脈の流れ。星々の流れ。すなわち森羅万象を意のままにあやつることができる――。
 今、京子は龍脈の力を手にしている。
 ヒューヒューと笛のような鳴き声を発し、百目鬼が退く。
 京子に怯えているのだ。
 空の穴に逃げ込もうとする百目鬼。だが――。

「逃がさないわ――」

 京子が無造作に刀印を結び、切りつけるように腕を振るった。
 純粋な霊気の刃が百目鬼の巨体を両断する。
 もう一撃。
 四つに裂けた百目鬼の体は陽炎のようにかき消える。
 なんの呪文詠唱も集中もない、単純に気を放っただけで霊災を祓ってしまった。

「うっ、クッ、あ、ああああアアアア――ッ!?」

 光に包まれたまま空高く舞い上がる京子。

「いかん! 龍脈の力に飲み込まれ、暴走している!」

 京子は苦しそうに身悶えしながら、西へと飛翔する。
「笑狸!」
「うん!」
 
 笑狸は即座に大鷲へと変化し、秋芳をつかみ京子を追って空を駆ける。
 西へ
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