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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
残照 3
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「かなえちゃん!」
「ありがとう京子ちゃん、さようなら――」
「……うん、またね。かなえちゃん」





「え? な、なんなの? 今のなに!? ねぇ、あなた。あなたも『視た』わよね?」

 ヘアバンドの女性――鷹寛の妻である土御門千鶴――が狼狽し、夫に声をかえる。

「ああ、まるで白昼夢だったな……。巨大なムカデに街の人々。この土地の記憶が見せた幻か……」

 改めて一か月前に起きた霊災により街が壊滅してしまったことの説明をする鷹寛。

「土地というのはたんなる場所じゃない。そこで起こった強烈な出来事が記録された記憶装置としての力もあるという。君たちはその記憶に、残留思念に取り込まれたのだろう。だが、君たちは記憶を書きかえた。彼らを救ってくれたんだ。街には私の知り合いがたくさんいた。私からも礼を言わせてくれ。ありがとう京子さん。ありがとう秋芳くん」
「……いや、鷹寛さん。どうやらまだ終わってはいないようですよ」

 秋芳はそう言って空の一点を指さす。
 空に、亀裂ができていた。
 まるでガラスに入ったヒビのようだ。

「うわっ、シュールな光景ね。まるでなんかの絵画みたい」

 千鶴が素っ頓狂な声をあげる。
 ヒビは徐々に広がり、そして割れた。
 空が割れたのだ。
 そこから強風とともに凄まじい気が流れ込んで来る。
 気だけではない。
 なにかが、とてつもなく強大ななにかの気配がする。
 そしてそれがこちらに迫っている。

「あ、秋芳〜」
「お、笑狸か。おまえも無事だったんだな」
「それどこじゃないよ。なんなの、あの空! なんなのこのとんでもない妖気!」
「街の人々が土地の記憶に囚われ、惨劇を繰り返していたのはたんなる自然現象なんかじゃない。おそらくこのバカでかい妖気の主がそう仕込んだんだ」
「なんのために?」
「苦痛や恐怖をなんども味あわせて楽しむため。人の魂を飴玉見たくしゃぶり尽くすのが好きなんだろう」
「そんな、ひどい…。ひどすぎるわ」

 みずからの両肩を抱き、うなだれる京子。
 その時ひときわ強い風が吹きつけ、空の穴からなにかが這い出てきた。

「お気に入りのオモチャを台無しにされてご立腹らしい。自分の巣から出てきやがった」 

 イソギンチャクを思わせるミミズのような体。全身から無数の触手が生え、大小いくつもの眼球のような器官もついている。
 ヒューヒューと笛の音のような鳴き声を発し、明滅するかのように体が見え隠れを繰り返している。

「ぬ、半体半霊か。あれでは物理攻撃は効果が薄いな」
「それと木気に偏りがあるわね」

 土御門夫婦は即座に相手の大まかな属性を見抜いた。

「それにしても凄まじい妖気だな。まさに移動型霊的災害。生きた台風がい
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