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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
残照 2
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違いで黒こげにされてはたまらない。
まぁ、むこうもこちらの実力を読んだ上で相応の呪術をもちいてきたのだろうが……。
(秋芳君!)
!?
(秋芳君、聞こえる? 秋芳君!)
京子の声が瘴気の中から響いた。
街の離れにある製粉工場。
大ムカデたちに追われ、着の身着のままで逃げだした人々が集まっている。
いったい何回同じ日をくり返したのだろう?
京子は数えてなどいない。
京子の頭にあるのは、人々を救い、霊災を祓い、また秋芳に逢う。
そのことだけだ。
最初からただの夢だとは思わなかった。なんらかの啓示だと判断し、人々に避難を呼びかけた。霊災が、ムカデが現れてからでは遅い。
だが、どうやって?
本職の祓魔官でも呪捜官でもない、未成年の少女の言葉で簡単に人々は動かなかった。
そうこうしているうちに大ムカデたちが現れ、街は惨状にまみれた。
白桜と黒楓を暴れさせ、強引に避難させようとしたが、それも失敗に終わった。
大ムカデが人々を襲う前に先んじて祓う方法も試みた。
出現場所自体はすぐに判明した。連中は常に街中に忽然と現れる。
つまり『外』から来たのではない。『内』から現れるのだ。
街の中央付近にある金矢神社。そここそが霊災の発生場所であり、京子がどんなにいそいで駆けつけても、発見時はすでにフェーズ3寸前。まともに修祓するいとまもなく実体化した大ムカデになんども敗れた。
仮にもっと時間に余裕があったとしても、持てる霊災修祓用の呪術に限りがある京子に祓えた可能性は低い。
霊災修祓の手順は時と場合にもよるが、基本的な流れが変わらない。
まず霊災を結界で隔離して周囲への被害を抑制する。その上で霊気の偏向を分析して是正をうながすか、より強力な呪力をぶつけて、偏った瘴気を強引に散らすかだ。
フェーズ1でさえ本職の祓魔官がバックアップ込みで二、三人で行うのが普通。それを非凡な霊力を持つとはいえ、まだ見習いの京子が一人でおこなっても無理というものだ。
「なんでよ、なんであたしは強くないのよ――」
「秋芳君みたく、どんなやつだって一発で倒せる強い力が欲しい」
「なんであたしは強くないの!?」
それでも、京子はあらがった。
なんども、なんども、なんどもあらがった。
白桜と黒楓では見た目のインパクトが弱い。そこで半信半疑どころか一信九疑の笑狸をなんとか説得し、本物の大ムカデが現れる前に醜悪な大ムカデの幻を街中に作り、動かして人々を驚かせ、避難させる方法を試みた。
もし笑狸が生来の悪戯好きな化け狸ではない真面目な性格だったら、首を縦に振ることはなかっただろう。
そしてこの方法はなんとか成功し、今にいたる。
「どういうことだ!?」
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