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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
残照 2
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わばら」と唱える乙種呪術がる。
 秋芳はそれに呪力をくわえることで『本物』の呪に仕立て上げたのだ。
 たんなる力づくの甲種言霊ではなく、細密に練られた呪力が乗せられた、人間相手のみならず、呪術にも効果がある、きわめて玄妙な言霊術といえる。

「どうやらただの左道使いってわけじゃなさそうね。本気でいかせてもらうわ!」
 女性が印を切り、真言を唱える。
「ノウマク・サンマンダ・ボダナン・インドラヤ・ソワカ!」
 激しい雷鳴が轟き、瀑布のような勢いで雷流があふれ、押しよせる。
 自然には決して起こらない規模の雷の嵐が場を駆ける。
 女性が切った印は帝釈天印。
 帝釈天とはインドの神話に登場する軍神インドラのことで、天空の支配者。雷鳴や稲妻を自在にあやつる存在だ。
 彼の武器であるヴァジュラは密教法具である金剛杵のもとになったといわれる。

「雷鳴に祝福されし羅刹の王子。百の剣を振るい、千の矢を降らす魔術の長。我が敵は汝が敵なり。偉大なる?????????よ、その力をここに!」

 それに対して秋芳はインドラを倒したという羅刹メーガナーダの尊称『インドラジット』を梵字で唱えることで、その力を源とする呪術を行使し、対抗。
 五行の術に相生や相剋があるように、呪術には相性というものがある。
 たとえば火界咒と不動金縛りはともに不動明王系統の呪術で、ぶつけても相殺せず片方に吸収されることが多い。
 この場合、インドラとインドラジットでは勝利した後者の力が大きく、帝釈天の力を源とする雷の嵐はたちまち沈静化してしまった。

「ぐぬぬ、またしても器用な真似を!」
「ケンカっ早いわ、電気ビリビリだわ。ラムちゃんどころか御坂美琴さんか、あんたは」
「え? あらあら美琴ちゃんだなんて、私ってばそんなに若く見えるのかしら。うふふ、ああでも私の電撃じゃコインは飛ばせないから」
「そりゃまぁ、レールもないのにレールガンは撃てないだろうしな」
「黒こげになっただけよ」
「試したのかよ!」
「さぁ、次は本気も本気。一〇〇パーセント中の一〇〇パーセントでいくわよ!」
「まだ続ける気か…」

 さすがにうんざりする秋芳。
 いささか強引だが、気を禁じて眠ってもらうか……。
 そんなことを考えていると――。

「そこまでだ、かあさん」
「あら、あなた? と、そっちの綺麗な子は?」

 いつの間に来たのか、鷹寛と純の姿があった。

「うちのお客さんだよ。今おまえが相手してる人もな」
「え? ええっ!? どういうことよ」

 鷹寛がことの次第を説明する。

「あらまぁ、そういうこと…。おほほ、ごめんなさいねぇ。場所が場所だけにてっきりよからぬ輩がよからぬことをしてるんじゃないかと、かん違いしちゃったわ」
 
 かん
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