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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
残照 2
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入る。
視覚を共有してある偵察用の簡易式だ。
秋芳が意識を集中するに従って目≠ヘ奥へと進んでいくのだが――。
(ダメだ。たしかにどこかにつながっている感じはするが、気の流れに乗ることができない。俺自身が帝式の兎歩を使えばあるいは……)
道教に伝わる兎歩は魔除けの歩法だが、帝国式陰陽術における兎歩とは仙術とされる縮地の術と組み合わせ、霊脈に入り移動する呪術のことをを指す。
禁呪にふくまれない帝式の中では屈指の難易度を誇る超高等呪術であり、夜光以降に作られた新しい呪術だ。
賀茂にも連にもこの呪術は伝わっていない。
秋芳もつい最近にこの呪術の存在を知り、陰陽塾の図書室で専門書をあさり、独学で身につけたところだ。
と、その時。
「そこの怪しいやつ、ここでなにをしているの!」
突然の誰何。
声の主はと見れば、小柄な中年女性が肩を怒らせて立っている。
たしかに中年のようだが溌剌として若々しい。おばさんではなくお姉さんでも通用するルックスだ。額にしてあるヘアバンドといい、元気のいいスポーツ少女がそのまま年齢を重ねたかのような印象がある。
「家のほうから天狗かマシラみたいな勢いで駆けてく影が見えたから来てみれば、瘴気の渦なんてこしらえて、あんたなにしでかそうっての? 返答次第じゃ痛い目見るからね」
誤解だ。
「待て、俺は怪しい者じゃない」
「怪しいやつはたいていそう言うのよ!」
「待て、俺は怪しい者だ」
「怪しいやつめ、おとなしくお縄につきなさい!」
女性はそう言うや、なにかを放った。
蒼いツバメ『モデルWAI・スワローウィップ』だ。
スワロー・ウィップは人造式の中でも捕縛式と呼ばれる特殊な式神で、その主な用途は呪術犯罪者の捕縛。呪捜官のために作られたような人造式である。
とっさに折り鶴の式を呼び戻し、飛来してくるスワローウィップに割り込ませて動きを止める。
「ええい、どう答えろと言うのだ! だいたいそっちこそ何者だ。堅気の人間は捕縛式なんて持ち歩かないぞ」
「あんたも呪術になじみのある人間なら『アキバのラムちゃん』て言えば、聞いたことぐらいあるでしょ?」
「はぁ? なんだそりゃ。知らん」
「むむ、じゃあ『祓魔局の天神小町』か『閃光のレディ・サンダー』は?」
「一度も聞いたことがない」
「そう…。なら、これから忘れないように胸に刻み込ませてあげるわ。
急急如律令
(
オーダー
)
!」
女性の手にした木行符がひらめくや、閃光が奔り、轟音とともに雷がほとばしる。
「くわばら!」
しかし秋芳が一喝すると、彼にむかって放たれた霊撃は軌道がずれ、あらぬ方向に飛んでいった。
「……ずいぶん器用な言霊の使い方するじゃない」
雷除けのまじないに「く
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