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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
残照 2
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れを感じ、その方向にむかう。

(これは、社の跡か?)

 鳥居の残骸だろうか、朱色の木片が散らばっている。
 そしてその向こうには――。
 瘴気。
 地面から瘴気が間欠泉のように湧き出し、竜巻のように回転しながら空へと舞いあがっていた。

(なんなんだこれは? フェーズ3にいつ移行してもおかしくない規模の霊相だが……、このあるかなしかのわずかな瘴気はなんだ?)

 ガラス越しに人と会話している時のような『聞き取りにくい』感じ。
 目の前にあるにもかかわらず、どこかぼんやりとしている。
 慎重に瘴気へと近づき、様子をうかがう。
 すると――。
 竜巻状の瘴気は一瞬にして巨大なムカデへと姿を変え、襲いかかってきた。

「斬妖除魔、降魔霊剣。急急如律令!」

 ふところから素早く霊符を抜き、即座に口決を唱えると、符から光り輝く刃が伸びる。
 牙による攻撃を避けると同時に腕を振るい、ムカデの胴を斬り裂いた。

 シャァァァッッッ!

 痛みと怒りに震える大ムカデの口から黒い噴煙が吐き出される。

「オン・マユラ・キランデイ・ソワカ」

 両掌で孔雀明王印を結び、真言を唱えると、まばゆい光が後光のように射す。
 害虫や毒蛇を駆逐する孔雀明王の力が噴煙を退ける。
 さらにその聖なる光気は大ムカデの体にもダメージを与え、全身を覆う硬質の殻に無数の裂け目が生じ、そこから毒々しい色をした体液が漏れる。

 ピギャァァァッ!?

 たまらず退散する大ムカデ。

「禁足則不能歩、疾く!」
 
 足を禁ずれば、すなわち歩くことあたわず。
 どどうっ。
 無数の脚をせわしなく動かして逃げようとした大ムカデだが、その足の動きすべてを禁じられて地に転がる。

「ノウモタヤ・ノウモタラマヤ・ノウモソラキャ・タニヤタ・ゴゴゴゴゴゴ・ノウガレイレイ・ダバレイレイ・ゴヤゴヤ・ビジヤヤビジヤヤ・トソトソ・ローロ・ヒイラメヤ・チリメラ・イリミタリ・チリミタリ・イズチリミタリ・ダメ・ソダメ・トソテイ・クラベイヤ・サバラ・ビバラ・イチリ・ビチリリチリ・ビチリ・ノウモソトハボタナン・ソクリキシ・クドキヤウカ・ノウモタラカタン・ゴラダラ・バラシヤトニバ・サンマテイノウ・ナシヤソニシヤソ・ノウマクハタナン・ソワカ」

 孔雀明王の陀羅尼。
 破邪の光が雨のように降りそそぎ、ムカデの形をした動的霊災はたちまち修祓された。
 だが、瘴気は依然として地面から湧き出している。

(これはまさか、門か?)

 異界へのゲート。
 そのようなものが本当に存在するのだろうか?
 ふところから一枚の式符を取り出す。
 霊力を練り、呪力に変えて式符に注ぎ込みながら放つ。秋芳の呪力を受けた式符は折り鶴の形になり瘴気の中へと
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