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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
残照 2
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ぐ。
疾走しつつ笑狸との『つながり』を強化し、呼びかけるも反応はなし。
道を使わずに山林を突っ切り走りに走る。
軽功を駆使して木々を飛び、林を駆けるのはお手のものだ。伊達に山籠もりの修行を積んだわけではない。
街に、街だった場所に着いた。
まるで竜巻や津波に飲み込まれた後のように崩壊した街。瓦解した建物が広がり、人の気配もしない。
(どういうことだ? 昨夜はここで一晩明かしたんだぞ。旅館の風呂に入って飯も食ったし酒も飲んだ)
まずはその旅館があるであろう場所に行ってみた。たしかに見覚えのある建物がそこにはあったが、破損がひどい。雨露をしのぐことはできても、これではとても旅館としては使えないだろう。
(狐や狸に化かされて、泥水を酒と思いこまされ、畑や林の中で一人で宴会していた。なんて話を聞くが、これは幻覚や幻術の類ではない)
(まずこの俺がまったく気づかずに術にかかるわけがない。次に見鬼持ちが四人もいるんだぞ。そのうち一人は幻術を得意とする化け狸だ。それを完全にだますなんて不可能だ)
(もしや霊災。フェーズ5による、完全なる異界に迷い込んだのか!?)
霊災。
自然レベルでの回復を見込めない霊気の偏向。災害へと発展する直前の段階をフェーズ1。
これがさらに進行することでフェーズ2へと移行し、強まった瘴気が周囲へ物理的な被害を与えるほどになる。この段階を超えると大量の瘴気は実体化し、鬼や天狗。鵺といった異形の存在。移動型・動的霊災と呼ばれるようになり、これがフェーズ3。
フェーズ4へと進行すると一つの巨大な霊災を中心として無数の霊災が連鎖的に発生し、無数の霊的存在が実体化して暴れ回る百鬼夜行となる。
そしてさらに、進行した霊災が世界に受け入れられ遍在化する状態をフェーズ5。ファイナルフェーズが存在すると、一部の研究者たちの間で時々口にのぼる。
偏向ではなく偏在。
世界に受け入れられ遍在化した霊災とはなにか?
一説では『神』になるとされる。
神話や伝説などに登場する神や悪魔と呼ばれる霊的存在は霊災の一種。という考えだが、同様の考えで天国や地獄。魔界や黄泉といった想像上の異界もまた、霊災が極まったさいの形の一つではないかという説だ。
世界各地に伝わる隠れ里や桃源郷伝説などはこれで説明がつく。
神隠しなどは『異界』という名の霊災に巻き込まれたくちだ。
呪術によって世界の一部を一時的に異界化することは可能だ。結界に閉ざされた状態の空間も一種の異界といえる。
だが永続的に存在する『世界』を人の身で創れたという話はいまだ聞かない。
それはまさに自然現象を、地震や台風を人工的に起こせるかというレベルの話になる。
(む?)
かすかな霊気の乱
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