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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
残照 2
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にもあいつはうちの異端児だな。最初見た時は茨城のヤンキーかと思ったよ」
「あっははは! なにそれ。でもそれってば春虎君にぴったりのキャッチコピーかも」

 純の顔に笑顔がもどる。

「春虎がどうかしたのかい?」

 声の主は噂の主の父親。土御門鷹寛だ。
 がっしりとした体格で身長も高く、レスラーと言っても通用する大男だが、そのわりには威圧感を感じさせない。

「彼が陰陽塾の個性派だって話してたところです」
「ほう、だがおれから見たら君らふたりもじゅうぶん個性的だよ。最初はどこのAKBだかKGBだかのアイドルかと思ったほどのべっぴんさんに、賀茂氏の御曹司だからな」
「アイドルってそんな…、それほどでも、ありますか?」
「御曹司といっても俺はただの養子ですから。それに賀茂といっても今は没落した旧家の一つにすぎませんよ」
「それなら土御門も同じようなものさ。……秋芳君は春虎のクラスメイトなんだろ? 今、茶を淹れるから、塾での春虎のこと、聞かせてくれないか?」

 冷たい緑茶。それと焼き菓子が用意される。
 小麦粉を卵と砂糖で練って焼き上げた生地でホワイトチョコを包んだ焼き菓子は香ばしく甘かった。

「――で、春虎はどうだ? クラスにはちゃんと馴染めてる? 勉強はできてるかい?」
「ツッチーなんて呼ばれて馴染んでますよ。なんでも入塾早々みんなのハートをガッツリつかむような行動したそうで。…勉強は、正直できません。そのせいで、いつも主の夏目君からお小言を喰らってます」
「はははっ、優秀な夏目君から見たら、うちのバカ息子のバカっぷりには腹が立つんだろうな」
「優秀…、たしかに夏目君は優秀ですね。ですが――」
「うん?」
「夏目君と春虎君。上司にするなら春虎君ですね」
「ほほう、そりゃまたどうしてだい?」
「夏目君は優秀な人間にありがちな『自分ができるから他人もできて当然』な考えが強いように思えます。こういう人はたいてい教え下手で、下につくと苦労します。対して春虎君は『自分もできないから一緒にがんばろう』『自分にはできないからお前を頼りにしている』と、こちらのやる気をうながしてくれそうです」
「ふむ…」
「それと人を惹きつける徳のようなものが備わっているような気がしますね。人々の輪に自然と入れる。気づけば場の中心にいる。たとえるなら『三国志演義』の劉備や『水滸伝』の宋江みたいな人でしょうか」
「そいつは褒めすぎだろ! 親の前だからって持ち上げなくてもいいだぜ」
「いやいや、正直な感想ですよ。土御門の次期当主は夏目君だそうですが、トップに立つなら春虎君のほうがお似合いじゃないですかね」

 そのひと言に鷹寛の目に鋭い光が走る。

(おっと、さすがに人の家のことについては言いすぎたか)

 だがそれも一瞬
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