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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
残照 1
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投げつけた。
一つ、二つ、三つ、四つ……。
石は水面にいくつもの輪を作って遠くまで跳んだ。
「石を変えれば結果が変わることもある。でも、投げるのは自分でしょ。世界の中心は自分。逆じゃない。世界の裏側や果てに行っても、京子ちゃんは陰陽師を目指してると思う。それが京子ちゃんの真ん中の部分、つまり自分だから。『才能』なんていう環境に左右されるような情けない真ん中じゃ、次の場所で悩んだ時に、また同じように見失うよ」
「笑狸ちゃん…」
いつも軽薄な笑狸がそのようなことを口にするのは正直意外だった。
「かなえちゃんが欲しいのって才能ならなんでもいいの? それとも見鬼が欲しいの? もし見鬼の才が欲しいなら秋芳に見てもらうといいよ。いい訓練を教えてくれるかも」
「え、でもそれって後から身につけることができないじゃ…」
「秋芳がよく『努力に勝る天才なし』て言ってるよ。どんな天賦の才能を持っていても、努力し続ける人にはどんな天才も勝つことはできないってさ。血筋や出自を重視する、今の呪術界のやり方に疑問や不満があるみたい。だから見鬼の習得や霊力の底上げに関する 独自の鍛練法を考案してるみたいだから、ひょっとしたら教えてくれるかも。…あ、でも下手したら気脈が断たれて廃人になったり、最悪死んじゃうから、そのつもりでね」
「え、遠慮しとくわ。あたし、まだそこまでの覚悟はないから」
「まだ、ね…。でも本気で陰陽師になるつもりなら、東京まで訪ねてきてよ」
「あ、べつに陰陽師を目指すとかじゃなくて、今度渋谷に出て来るときは連絡して。一緒にいろんなところを案内するわ。あたし、この街にもまた来るから」
「うん、わかった…。二人とも、ありがとう」
遠くから喧騒が聞こえてくる。
「あれ? お祭り始まったの?」
「そんなことないわ。だってお祭りは夕方からだもの」
人の怒声、泣き声、悲鳴――。
祭りの賑わいとはあきらかに異なる剣呑な響き。
黒い噴煙まで上がっている。
(噴煙! まさか……)
「京子ちゃん!?」
駆けだす京子。
「かなえちゃんはここにいて! 笑狸ちゃん、かなえちゃんを頼んだわよ」
返事も待たずに騒動のもっとも激しい場所を目指して進む。
街中は、巨大なムカデの群れにあふれていた。
大きいもので電信柱ほど、小さいものでも大人の腕くらいの太さをしたムカデたちが人々を襲っている。
一匹や二匹ではない。
十匹、二十匹、三十匹……。
数えきれないほどの大ムカデたちが跳梁している。
角のような触覚をいやらしく蠢かせ、人々を追いつめ、捕え、食べている。
首から上をねじ切られ、血しぶきの上がる死体の横で頭をかじるムカデの姿がある。
切断された胴から灰色をした腸をぶちまけ
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