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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
残照 1
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、地域の共同体みたいな意識が強いの。行事を手伝うのは当然の義務だって、なんかうっとうしいのよね、そういうのって」
「そうかしら? みんな率先して手伝って、ああいうのって貴重だと思うわ」
京子もかなえにならい小石を拾い水面に投げつける。
しばらく二人で石を投げ続ける。
「素敵よね…。時間がゆっくり流れてる、て感じ」
「……よくTVとかで都会のマンションは隣に誰が住んでるかわからない。病める現代社会の典型。みたいな感じでやってるでしょ? でも、それはそれでいいと思うのよね。ここみたいなのって最悪。ほんとにうっとうしいもの、せまいせまい共同体。監視し合って干渉し合って、相手の生活にずかずかと踏み込んでくる。デリカシーなんてなくて、だから若い人はみんなここを出て行っちゃう……」
「かなえちゃん……」
「陰陽塾って渋谷にあるのよね。京子ちゃんは渋谷、好き?」
渋谷。
道玄坂、宮益坂、公園通り……。
とにかく坂が多い。
坂の下がりついた場所に渋谷駅が存在しているのだが、そこに、谷間の真ん中に引き寄せられるように大衆が集まる。
まるで蟻地獄にはまった人間たちが、その底辺で蠢いてるような印象がある。
上流から下流に流れていく水のように、渋谷には様々な気が流れ込んで来るのだろう。
陽と陰。
二つの気が。
そんな場所にあるのが陰陽塾なのだ。
「ゴチャゴチャしてて空気はよどんでて、朝は生ごみの臭いがして、道端でケンカしてる人もいっぱいいる……。ここみたいに綺麗な川もない。でも好き」
「どうして?」
「いやなところもあるけど、いいところもあるわ。それに――」
「それに?」
「陰陽塾があるから、そこがあたしの場所だから」
「そっか……」
小石を水面に投げる。
「いいよね、そういう場所がある人は」
小石を投げる。
「……あたし、ここがきらいなわけじゃない。このなんにもない街の一部みたいな自分がきらい。毎日あたりまえのように過ごしている自分がきらい。ここにいたら、あたしずっとこのまま、きらいなあたしのままでしかない」
「かなえちゃん、だれでも今の自分が百パーセント『いい』だなんて思ってないわ。だれでも自分のいやな部分を知っている。でも、そういうのもふくめて自分だと思うの」
「それは、ほんとうに『いやな』ところのない人の、才能のある人の科白だよ」
小石を投げる
「見鬼かぁ…。あたしもそういう才能が欲しかったなぁ」
投げる。
「石、それじゃ跳ばないよ」
「え?」
いつの間に川から上がったのか、全身から水をしたたらせている笑狸の姿があった。
「水切りの石。もっと平らな石じゃなきゃ水は切れないよ」
そう言って手近な石を拾い、水面に
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