暁 〜小説投稿サイト〜
東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
残照 1
[5/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
た! ええと、なんだっけ『五行の理を以って、鋭なる金気、沌せし木気を滅さん。金剋木、魔瘴退散』だったわよね、たしか」

 呪文詠唱まで正確にそらんじてみせるかなえ。

「いいなぁ、陰陽師。あたしも陰陽師になりたい……」
「え、ええっと……」

 京子は困惑した。
 てっきりネガティブな応えが返ってくると思ったからだ。

「ねぇ、陰陽塾って、どうしたら入れるの?」
「それは、まず見鬼ができないとダメね」

 見鬼。
 霊気を感じ取る、いわゆる霊感というものだが、陰陽師になるにはこの才の有無が第一条件だ。
 この能力の強さは個々の才能に大きく左右され、高位の見鬼は一般のそれらには見通せない術理や法理。天地に満ちる気の流れそのものまで見極めることができるという。

「あー、あたし、そういうのない……。ね、見鬼だっけ? それってどうしたらできるようになるの? なにか特別な練習とかあるわけ?」
「う〜ん、生まれつきのものだから、訓練や練習で見につけられるものじゃないの」 

 そして見鬼とは天与の才能であり、後天的な訓練で能力をのばすことはできても、元からの素質がないものにはあつかえない。
 なんらかの呪術により見鬼が付与されることはできるが、才のない者が自前で修得するのは不可能。
 というのがこんにちの呪術界の定説になっている。

「そっか、残念……」
 気まずい沈黙。
「あ、倉橋さんたち。もしヒマなら街の中を案内するわよ。なにもないところだけど、鮎の獲れた綺麗な川はけっこう自慢だったりするの」
「いいんですか? 旅館のお仕事は…」
「いいの、いいの! もうずっと閑古鳥が鳴いてて、やることなんてないんだもん。ちゃんとお母さ…。女将さんの許可もらっとくから気にしないで」
「あ、いいね〜、川。ちょっと暑いし涼みに行こうよ」
「それじゃあ、お願いします、浅田さん」
「かなえでいいわよ。…こっちも、京子ちゃんでいい?」
「ええ、よろしくね。かなえちゃん」

 夕方からの祭りの準備に騒がしい街中を抜けて、街のはずれを流れる川にたどり着く。
 清らかな流れが涼しい風を運んでくる。
「ひゃ〜、綺麗だねぇ。ボク、ちょっと入ってくる」
「ちょ、笑狸ちゃん!?」 

 言うが早いか服を着たままジャバジャバと清流に分け入る笑狸。化け狸だけあって、このへんは実にエネルギッシュだ。

「もう、笑狸ちゃんたら、着替えどうするのよ……。でも、ほんとうに綺麗な川ね」
「でしょ? この川くらいなものよ、この街のいいとこなんて」

 そう言って小石を拾い水面に投げるかなえ。

「金矢祭りだってあるじゃない。なんか思っていたよりずっと本格的みたい。みんなすっごい楽しそうに準備してたわよね」
「…こういう田舎って
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ