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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
残照 1
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迷惑してたんだけど、そこに俵藤太て強いお侍さんが通りかかって、そいつをやっつけてめでたしめでたし。その時のお話がもとになってるの」
「俵藤太って、藤原秀郷のことだよね? 平将門を討ちとった」
俵藤太。
またの名を藤原秀郷。
関東で乱を起こした平将門を討った武将として有名だが、それ以降は資料にほとんど名前が見られなくなり、亡くなった年さえも不明という、いささか謎の多い人物だ。
伝承の中では近江の国の大ムカデ退治。下野の国の悪鬼・百目鬼退治で名が知られる。
「そう。その藤原秀郷さん」
「でも、金矢祭りの『金矢』ってのはどういう意味なの?」
「そのムカデ、すっごい硬かったらしくて、刀も矢も弾いちゃったんだけど、最後に残った一本の矢に唾をぺっ、てつけて射ったら、なぜかそれが効いて倒せたんだって。不思議よね〜」
「そういえば唾には魔除けの効果があるって言うわね」
唾に魔除けの効果があるという話は世界中にある。
また沖縄には落し物を探すさい、唾を手の平にのせて呪文を唱えると失せ物が見つかる。などという『まじない』があるという。
これらは乙種呪術といえよう。
「その最後の矢を祀ってる神社がこの街にあって、その名も金矢神社。だから金矢祭り。なんかもう、そのまんまよね」
浅田かなえはケラケラ笑いながら話を続ける。
「あたしはその大ムカデって、今でいう霊災なんじゃないかなと思うのよ。倉橋さんたち東京から来たんでしょ。やっぱ東京って多いの、霊災? あと陰陽師に会ったことある?」
「それは…」
京子が言いよどむ。
自分たちは陰陽塾に通う見習いの陰陽師であり、プロの陰陽師の教えを毎日受けている。
そのことを正直に言っていいものか?
世間での陰陽師の評判はすこぶる悪い。
霊災の修祓などでその活躍を一時的に感謝される瞬間はあるが、それ以上に発生した損害の責任を問われる、批判の声のほうがはるかに多い。
たしかに東京に霊災が多発する原因を作ったのは陰陽師・土御門夜光が執り行った儀式の失敗によるものなので、それはしかたがないのだが、時にはそれとは関係ない、理不尽な差別や非難を受けることもある。
笑狸が京子の表情をうかがう。どうする? 言うの? そんな心の声が聞こえるような気がした。
「浅田さん。あたしたち、陰陽塾の生徒なんです」
隠す必要はない。
意を決し、京子は正直にそう答える
その返事にかなえが目を丸くする。
「凄い! あたし陰陽師の、木暮禅次朗さんのファンなの!」
「え!?」
この反応は京子の予想外だった。
「木暮さんてかっこいいわよね。この前の霊災修祓の時とか、直径が二メートルくらいありそうな木の霊災をズバッと斬り倒して、ほんとマンガみたいだっ
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