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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
残照 1
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生のイメージがボロボロとくずれていくイメージが浮かんだ。
けれどもこういう『生きかた』も悪くない。
「秋芳、遅くなるようならメール入れるってさ。それまでは街中でも見物して周ったら? お祭りの準備とかしてて面白そうだよ」
「お祭り?」
「うん。ここの仲居さんが言ってたけど、ええと、なんとかってお祭りが……」
「金矢祭りです」
白い襦袢姿の少女が二人の会話に割って入る。旅館の仲居だ。
「お客様たち、きのうはずいぶんお楽しみだったみたいですね。遅くまでずいぶんにぎやかでしたよ」
「あ、ごめんなさい。騒がしかったわよね。ひょっとして他のお客さんから苦情とかありましたか?」
「ぜんぜん! だって宿泊されてるお客様は賀茂様たちだけですから」
「え? お祭りがあるのに? 普通そういう時っていっぱいお客さんが来るんじゃないの?」
「こ〜んな辺鄙な田舎町のマイナーなお祭りを目あてに来る人なんていないですよ。あ、でも今日、早朝チェックインのお客様がいたから、あれがそうなのかな?」
ずいぶんとあけっぴろげな仲居さんのようだ。だがイヤミな感じはしない。
これが彼女の素なのだろう。
齢は京子と同じくらいで、まだまだ遊びたい年頃に見える。
「お昼ごはん、どうしますか? 簡単なのでいいなら用意できますよ?」
「……そうね、お願いするわ」
「この漬け物美味しい! 白いご飯によく合う」
「お魚も美味しいわ。これ、鮎よね? 川魚ってあんまり食べたことないけど、こんなに美味しかったのね」
「近くの川で獲れたの。旬はすぎちゃったけど、じゅうぶんいけるでしょ?」
「うん、いけるいける」
「金矢祭りでしたっけ。どういう謂れがあるお祭りなんですか?」
京子と笑狸は仲居――ここの旅館の娘で家業の手伝いをしている。浅田かなえという名だ――の用意してくれた昼食を堪能した後、お茶を飲み、ひと息入れながら会話に興じる三人。
かなえは同年代の話し相手があまりいないそうで、嬉々として話に応じてくれた。
「えっとね、昔、俵藤太って人がこのあたりを荒らしまわる大ムカデを退治したって話なんだけど」
「ムカデ!?」
「うん、ムカデ。倉橋さんムカデきらい? て、あんなキモい生き物、普通はきらいだよね。好きな人なんているわけないか」
「ムカデ、わりと美味しいよ」
「え〜、笑狸さんてゲテモノ好きなの!? 以外! そんなかわいい顔してるのに……」
「…………」
夢の中で秋芳が戦っていたのもムカデだ。
あれはひょっとしてなにかのお告げなのでは? 京子の心に一抹の不安がよぎる。
「でね、その大ムカデってのが山に何重も巻きつくほど大きい、怪獣みたいなやつだったらしくて、そいつが田畑を荒らすわ人を食べるわの大暴れ。みんな大
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