103栞のアルバイト
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か?」
「ええ、罠には注意して下さい。指紋を残したり、手を切られないようにして、ピンセットだけ入れて引き出してみて」
「はい」
ピンセットを使うのは面倒だったが、いつもやっているように、必要な品をポケットから引き出し、机の上に置いた。
「あああっ!」
依頼者の悲鳴に驚いて目を開いてしまったが、机の上には写真と同じ品物があり、別に驚くような事は何も無かったが、何か間違いがあったのかと秋子の表情を確認する。
「ええ、よくやって下さいました、これで良いんですよ」
「はあ……」
「ありがとうございますっ、こんな簡単に見付けて頂けるなんて、本当にっ」
泣き出して、土下座する勢いで頭を下げる依頼者に驚き、目線を逸らして資料の次のページを見始める栞。
「他のは写真とか無いんですね、どうやって探しましょう?」
困っていると、事務員が依頼者を起こし、椅子に座り直させていた。
「良かったですね、他の品物は写真がないようですので、こうしましょう。ちょっと失礼しますね」
秋子は栞の左手を取り、依頼者の額に押し当てた。
「分かりますか?」
「はい、頑張ります」
そのまま2ページ目の盗品の目録から、宝石、指輪、ネックレス、宝飾品、時計など順番に引き出して行き、現金は少し破いてしまったが、札束を4つほど積み上げると、目録の品が揃った。
「これで全部ですか? 他には?」
秋子と依頼者の顔を見比べ、机の上にある大きな額の金品には驚いたが、労力としてはクレーンゲームより楽だったので、何かマッスル系か愛用のメリケンサックが必要なアルバイトだと思っていた栞は、血が見れないので少しがっかりした。
「他は有価証券ですので、裁判所でお願いしていますが……」
「あ、はい、持ってきます」
ピンセットを置き、手でもそもそしていると、秋子からは注意を受けた。
「いけませんよ、罠があったらどうするんです?」
「真っ暗な金庫の中ですから大丈夫です」
片手で摘める枚数を引き出して積み上げて行き、全部取り出すと結構な妖力を使ったので一汗かいたが、やっと一仕事終えた気分になった。
「あ、終わりました」
目を見開いて驚いている依頼者と、壁際で抱き合って腰を抜かしている両親。秋子はニコニコ笑って、マコピーは半分寝ながら足を投げ出していたので、失敗はしていないのだと思えた。
「ええ、お疲れ様、これでもどうぞ」
「はい」
喫茶店の出前のジュースを貰い、ストローを思いっきり吸って、失った血液の分を補充して、何か得意絶頂の快獣さん。
「真琴、今の魔法、覚えた?」
「うん、覚えた」
純血の妖狐であるマコピーは、北斗心影斬だかセイントの能力で、一度見た技を見切れるらしい。
「エ?」
両親でも依頼者でも驚く技、それを見たマコピーは、一回見たダ
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