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KANON 終わらない悪夢
103栞のアルバイト
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快獣栞さん

 栞とマコピーは、祐一一行よりゆっくり寝てから、秋子との待ち合わせ場所である、駅近くにある小さく古い事務所ビルに送られた。女子陸上部もユニフォームや名雪先輩を拾ってから陸上競技場に送り届けられた。
「よく来てくれましたね、さあ、ご両親も依頼者の方もお待ちですよ」
「おはようございます、秋子さん」
「オハヨ〜」
 まだ寝ているマコピーを連れ、上の階には北朝鮮系のヤクザ、フロント企業のパチンコ屋の事務所、地下銀行、闇金まで取り揃えたビルに入った。
 ロシア系マフィアの中古車と海産物取り扱い企業もいて、中古車と交換にカラシニコフ小銃、トカレフ拳銃、ワシントン条約違反の動物、ロシアや衛星国で獲れる男の子女の子と交換してもらえる夢の様な取引所もあった。
 両国と関係が深い極左系ゲリラのアジトもあり、歩くだけで火薬と中古武器のオイルの匂いがするドリームチームで固められたビルで、一階には看板も出ていない、警備員詰め所兼、中華料理屋というフードコートも存在し、ドス黒い夢と野望が詰まったワンダーランドの一室に向かった。
 警察のスパイが入ると即タヒして、地元暴力団でも権利関係が怖すぎて裸足で逃げるビルに「天野探偵事務所」と看板の掛かった部屋があり、呼ばれていた栞の両親が来ている会議室に案内された。
「どうぞ、こちらです」
 調度品も何もない殺風景な部屋で、ソファーに座っていた依頼者が立ち上がって挨拶し、窓側に秋子と栞とマコピー、客側に依頼者が座り、壁側に両親が座った。
「ご依頼は盗まれた品の捜索でしたね? ご希望通り見付かれば良いのですが、今回はこの子が担当させて頂きます」
 秋子に紹介され、栞も頭を下げる。若い女性の事務員が預かっていた資料を机に並べ、写真が入った書類を一番上にして栞の前に置いた。
「これが今回お願いしました祖母の形見の品です。先月盗難に遭ってしまい、警察にも届けたのですが、見付かることは無いだろうと言われています。他にも現金や宝石なども盗られましたが、これだけはお金では買えない品ですので、どうかお探し下さい」
 頭を下げられ釣られて栞も頭を下げる。写真の品に見覚えは無かったが、何故かどの方角にあるのかは分かった。
「栞さん、これがどこに有るのか分かりますか?」
「え? 方向ぐらいなら」
 その方向を指差すと秋子は笑顔で頷き、栞の手を取って微調整した。
「このぐらいですね、じゃあ手袋をして、このピンセットを持って、またポケットに手を入れて目を瞑って下さい」
 手袋とピンセットを渡され、手にはめている間に、秋子が依頼者に笑いかけた。
「日本の法律では、盗品を盗み返すと窃盗罪になるそうです、この国の法律は変わっていますよね」

 準備が終わった栞は、ポケットに手を入れて秋子の指示を待った。
「こうです
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