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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
憑獣街 3
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の名を呼びながら駆け寄ってきた。
秋芳は塾長のお迎えに応じて倉橋邸にお邪魔することにした。
倉橋邸。
さすがに広い。
京や大和にある賀茂の屋敷も大きいことは大きかったが、どこか生気にとぼしかった。
暗い部屋の中、障子ごしに差し込む光に映され、ただよっている埃。
そのような、どこか病んだ印象があった。
ここはちがう。
この家は清浄な気と生気に満ちている。
畳ばりの大きな部屋に木ノ下純が寝かされ、その周りに秋芳、京子、美代の姿があった。
犬神騒動についてひと通りの説明を終え、念のため純の気を検めたところ――。
「犬神は完全に取り除かれてます。けれども、まだ獣の気がありますね」
美代はそう言って純の身を調べた照魔鏡をかたわらに置く。
「え、ちょっと待ってお祖母様。それってば『完全には取り除かれていない』てことじゃないんですか?」
陰陽塾内では塾長と生徒。実の祖母に対してもかしこまった言葉を使う京子だが、場所が自宅ということもあり、少々くだけた口調になっていた。
「犬神の気ではないの。まったく別の獣の気が彼女…、じゃなくて彼、木ノ下さんの中にあるわ。それもとても深いところに」
「もともと生成りだった。ということですか?」
「彼自身が生成り。憑依されていたわけではないでしょう。……おそらくは先祖に動物の生成りがいて、その因子が一族の血肉や魂に脈々と受け継がれ、今回の件で覚醒してしまったんじゃないかしら」
(まるで『妖狐×僕SS』の先祖返りみたいね)
(なるほど『幽☆遊☆白書』の魔族大隔世遺伝みたいなものか)
「あら、二人ともずいぶん素直に納得しましたね。こんな稀有な例、すぐには信じられないかと思ってましたのに」
「え、ええ。お祖母様の診たてですもの」
「あー、隔世遺伝や間歇遺伝と呼ばれる現象自体は実際ありますからね。そういうことがあっても、そう不思議ではないかと」
前に読んだ漫画のネタで使われてたんで、しっくりきました。とは言いづらい。
「とはいえ世間一般で言う生成り状態であることには変わりはないですし、正式に封印術を施す必要がありますね」
「……陰陽医のお世話になるってことですか?」
生成りだと認められた者は陰陽医の元に隔離されたり、陰陽庁の監視下に置かれた上で封印術が施され、宿した存在を押さえこむよう、陰陽法に定められている。
陰陽庁内の隔離施設に軟禁され、自由を奪われた純の姿がつい脳裏に浮かび、つい不安げな声が出る。
「安心して、京子さん。どんなことがあろうと陰陽塾の生徒を無碍になんかしません。私の知り合いにとても腕のいい陰陽医がいるの。彼に一度診てもらいましょう。木ノ下さんのご家族には私からきちんと説明するわ」
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