暁 〜小説投稿サイト〜
東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
憑獣街 3
[4/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

 突進して引き裂く前に先ほどの術で動きを止められ、左右から攻撃されるのはいやだ……。
 はたしてそのように考えたのか不明だが、誘いに乗るような真似はしなかった。
 禍斗の口が大きく開く。
 そこにはおき火のように赤々と燃える炎が見える。
 距離があるのをいいことに、ふたたび火の息での攻撃を試みたのだ。
 ごうっ。
 自分に目がけて一直線に伸びる炎に対し、京子は二枚の符を投じた。
 一枚は桃園霊符。
 もう一枚は水行符――ではない。土行符だった。

「霊気よ、つどいて盾となれ。急急如律令(オーダー)!」

 桃園霊符で防壁を張る。
 だが火を防ぐのにもっとも効果的な水行符ほどには軽減できない。火はせき止められたが火傷するほどの熱気が伝わってくる。
 熱い。
 髪の毛の焼けるような、いやな臭いがただよう。
 それでも、なんとか防ぎきった。

「灰燼より真土あらわる、急急如律令(オーダー)!」

 同時に投げた土行符は火の息を吸収し、ひときわ強い気を放ち、巨大な土塊と化した。
 五行相生、火生土。

「土精を食みて金剛と化せ、急急如律令(オーダー)!」

 間髪入れずに金行符を、続いて水行符を打つ。

「金鉄に発露し恵水となれ、急急如律令(オーダー)!」

 土塊は鉄塊と化し、その表面を大気中の水分が凝縮されたかのような大量の水滴が覆い尽くす。
 そしてそれは一筋の水流と化し、禍斗にむけ激しく噴射、直撃。
 土生金。金生水。
 相生効果により増幅された水気は極めて強力で、火気をまとう禍斗はひとたまりもない。
 断末魔すらあげることもできず、いっそう激しくラグを起こし消滅した。
 勝った。
 京子は勝ったのだ。
 五行相生を駆使するため、連続して符術を使うのは一つの賭けだった。
 符を投じるタイミング、術式の展開と制御。それらに寸分で狂いがあれば、失敗していただろう。
 幼い頃からの呪術の手ほどき、座学で習った五行相生。
 そして実技授業で秋芳と呪符打ちをしてコツをつかんでいたから、それを犬神の群れに対し実践していたからこそできたのだ。
 日々の訓練、研鑚はけして無駄にはならない。
 そう。日々の欠かさぬ努力があって、始めて強くなり、勝つことができるのだ。





 接近戦では全身に生えた獣たちの牙の餌食になる。
 ある程度距離をとって戦うか…。
 そう考える秋芳だったが――。

「まずはその蝿のように小うるさい動きを封じてやる。オン・ビシビシ・カラカラ・シバリ・ソワカ――」
「オン・ビシビシ・カラカラ・シバリ・ソワカ」
「オン・ビシビシ・カラカラ・シバリ・ソワカ」
「オン・ビシビシ・カラカラ・シバリ・ソワカ」

 火怒呂の全身に生えた獣たちの口か
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ