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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
憑獣街 2
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人いればじゅうぶんだ)
(あら、愛されてるのね笑狸ちゃん。一途なご主人様でうらやましいわ)
(んー、そういうわけでもないんだがなぁ。……昔、ちょっとあってね)
(なに? なにがあったの?)
(笑狸に会うずっと前、祓った動的霊災をかたっぱしから自分の式にしていた頃があって)
(……あたしたちのレベルとは全然ちがう話ね)
(その時に葛城山の神に因縁ふっかけられたんだ)
(神様に!?)
(ああ、山の中を歩いていたら、向こうから俺とまったく同じ姿の人が歩いて来た。これは怪異の類と思い話しかけたら、自分は葛城山の神だから道を開けろと言うのだ。当時の俺は調子に乗ってたガキで、それを拒んで戦闘になったんだが、やっこさん、こちらの所持している式神をまんま使ってきやがった)
(さすが神様ね)
(こちらが召喚してないものまで使うわ、倒してもまた出てくるわで、めんどうになり、その場は逃げた。で、あれはこちらの式神をコピーする能力を持っているに違いないと思い、後日すべての式神を無に帰してから再戦しに行ったんだ。すると案の定むこうも一人だけ。サシの勝負なら楽勝だ。はっ倒して負けを認めさせてやった。それ以降やたらと式を持つのをやめたんだ)
(正直、信じられない話だけど、あなたが言うなら事実なんでしょうね……)
横で聞いている純もこの話には仰天し、あやうく穏形が解けるところだった。
代々木公園。
隣接した明治神宮と一体化した緑の園。
陽の光の高い時間帯はサイクリングに興じる者あり、家族で遠足に来るものあり、愛をささやくカップルあり――。
そんな都会のオアシスに蠱毒が埋められているのだ。
人々に踏まれることで怨念を増し、いっそう強い念を出すことになる。
「あそこよ! まちがいないわ」
観光地でありデートスポットでもある場所だけに、昼夜を問わず人通りは多い。
すでに相当強力な呪力を放っている。
蠱毒の埋まっている場所へ駆けて行き、掘り出そうとする純。
それとほぼ同時にあたりを異様な気配がつつむ。
スーツ姿のサラリーマンやOLふうの男女、作業着を着た労働者、学生ふうの若者、ストリートファッション姿の若者、浮浪者……。
人、人、人、人、人、人――。人の群れだ。
犬神にとり憑かれた群衆があたりを囲んでいた。
「一気に祓うぞ。京子は右を」
「わかったわ! …臨、兵、闘、者、皆、陣、裂、在、前!」
刀印を結び、九字を切る京子。籠の目状の霊気がほとばしり、それに触れた犬神憑きたちはたちまち地面に倒れ伏す。
「我祈願、南斗星君。百邪斬断、万精駆滅、星威震動便驚人――。活剄!」
我は祈り願う。人の命を司りし南斗の神よ、邪気を斬り捨て、あらゆる霊を祓え。星々の威光が地を制す
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