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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
憑獣街 2
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の名を世に広く知らしめたいと思っている本家の連中にとっては好都合だ。

「じゃあさっそく出発しましょう。タクシー呼んだほうがいいわよね? 歩くより早いし、あいつらにも見つかりにくいでしょ」
「いや、どこに犬神憑きがいるかわからない以上、公共の移動手段は使わないほうがいいだろう。可能な限り人に見つからず、歩いて行こう。二人とも穏形しながら移動はできるか?」
「そんなには早く歩けないけど、なんとか」

 さすがは二年生の純だ。

「……やってみるわ」

 正直、今の京子の実力では穏形しながら歩くのはむずかしい。
 だがついて行くと言った以上、後には引けない。ここで『できない』と口にできるはずがない。やるしかないのだ。

(ふむ、良い返事だ)

 京子のその思いを察せない秋芳ではない。
 むずかしい課題をつき出され『できない』と考えたり答えるのは、もっともしてはいけないことだ。
 できないなんて思うことは自分で自分の可能性を閉ざしている。
 『できない』という呪をかけているに他ならない。
 かと言ってできもしないのに『できます』と答えるのはあまりにも無責任だ。
 『やってみます』この答えが一番良い。

 話がまとまったので会計をすまして代々木公園へ向う。

「京子、抵抗するなよ」
「え?」
「禁気則不能感、疾く!」

 気を禁ずれば、すなわち感じられることあたわず。
 たちまち京子の気配が断たれ穏形状態になる。

(なにこれ? これが、賀茂の陰陽術なの?)

 始めて目にする術に目を丸くする純。

(いや、これは賀茂の術じゃあない。我が家に伝わる呪禁の術さ)

 ざっくりと自らの生い立ち。賀茂と連、呪禁のことを純に説明する。

(それよりも穏形状態で街中を歩くさいは歩く人や走る車に気をつけるんだぞ)
(うん、むこうからはあたしたちの姿は見えないからね)

 正確には見えないのではなく、認識できない状態だ。
 陰陽術による穏形というのは、物理的に透明になっているわけではない(もちろんそういう術も別個に存在する)目はそこに術者がいることを見ているのだが、心がそれを認識しないのだ。
 まるで道にある雑草や小石のように、誰にも気にとめられることがなくなる。
 達人ともなると小規模の人払いの結界のようなものができ、雑踏の中にいても周りの人は無意識に目をそらし、避けて通るようになるという。





 街中を注意して進む三人。

(しかしあれだな。こうして歩いてると、乗って高速移動できるタイプの式神が欲しくなるな)
(そういえば笑狸ちゃん以外に式神っていないの? あなたの呪力なら十体でも二十体でも、簡単に使役できるでしょ?)
(大量の式神は使わない主義でね。あいつが一
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