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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
憑獣街 2
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かないはずよ」
「そうね。たしかに陰陽塾そのものに個人レベルで呪をかけたって、たかが知れてる。でも陰陽塾に外から通う生徒はちがう。……あたしみたいに憑かれる子だって出てくる可能性があるわ」
「完璧なのは結界だけじゃないわ。アルファとオメガの霊気チェックだってあるんだし、そんな子がいてもすぐにわかるはずよ」

 アルファとオメガとは塾舎ビルの正面入り口に鎮座する二体の狛犬の姿をした式神だ。
 鋼の実体を形代とした機甲式と呼ばれる頑強なタイプの式神で、陰陽塾の番人といえる。
 彼らが常に目を光らせ、塾内に出入りする人間の声紋や霊気の確認をしているおかげで陰陽塾の安全は守られている。

「登校中に憑かれて、そのまま街中で暴れられる可能性もある。もし陰陽塾の生徒が他所で陰陽術を使って問題を起こしたとなれば陰陽師に対する風当たりはさらに強くなるだろうなぁ…」
「そういう懸念なら、そんな物が街中にある時点で大問題よ。巻き込まれるのが一般人だろうが塾生だろうが、呪術がらみの事件が起きたら『また陰陽術か!』て、マスコミの連中がうるさく騒ぎ立てるわ。……て、もう一般の人たちが巻き込まれるじゃないですか! さっきの人たち!」

 今さらながら、事の重大さに気づく。

「早く呪捜官に知らせないと…」

 呪捜官。
 呪術犯罪捜査部。通称・呪捜部。
 陰陽庁に属する内部部局の一つで、この部署に属する陰陽師は呪捜官と呼ばれる。
 主に呪術絡みの犯罪捜査に従事し、職務の性質上対人呪術戦が多いのが特徴だ。
 また、呪捜官には警察官のように拳銃の携帯が許可されている。

「まって京子ちゃん!」
「木ノ下先輩?」
「……お願い、それだけはやめて」

 陰陽塾の二年生ともあろう者が、街中でもぐりの陰陽師。いや陰陽師と呼ぶのもはばかられるような左道の呪術者の手で動物霊を憑依させられ、呪捜部のやっかいになった。
 これは不祥事だ。
そんなことが明るみになればどうなるか?
 陰陽塾に通う塾生の多くは旧家や名門の出。それも今まで数多くの陰陽師を輩出しているような、呪術と縁の深い家の者が多い。
 そのような家の人間がいかにもいやがる類の不祥事だ。
 周りからは後ろ指を指され、いろいろと不愉快な思いをすることになるだろう。
 木ノ下純はことを公にせず、自分の手で始末をつけたい。
言葉に出さずとも、純のその考えは秋芳と京子に伝わってきた。

「……それだけじゃないわ」
「え?」
「私の、私たちの暮らす街で呪術をこんなふうに使うやつはゆるせないの。呪術はそういうふうに使うものなんかじゃない。私たちの街は、私たちの手で守りたい……」
「先輩……」
「あと一つ。あと一つだけ回収すればまとめて祓うことができるの。そうすれば呪詛は返されて、あ
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