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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
憑獣街 2
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んな動物愛護の精神に反した、他人の怨念に頼った呪術。取り締まられて当然よ」
「実に独善的だな。そうやって今まで民間からいくつの呪術を奪い、闇に葬ってきた?」

 京子が火怒呂と応酬をしている間、秋芳の腕に力が戻りつつあった。

(気から察するにあの犬はやつの護法。それも使役式だな。タイプ・ビースト……、ガルムかヘルハウンドか? 舶来ものかよ。いや、ちがうな。あの身にまとう火気の強さ、あれは…、禍斗か!)

 禍斗(かと)
 中国の地理書・山海経に記された妖獣。
 炎を食べ、炎をまき散らすとされる魔犬だ。

「もぐりの憑依師にしちゃ、ずいぶんと贅沢な式神を持ってるんだな」
「憑依師ではない、犬神筋と呼べ」
「それ、禍斗だろ? どこで見つけてきたんだ」
「ほう、こいつの正体がわかるか。さっきの術といい、なかなか優秀だな。……そうだ、おまえを犬神にしてやろう。人で試したことはないが、良い蠱毒ができそうだ」
「な…、人を蠱毒にですって!? あんた、どこまで腐ってるのよ!」
「威勢のいい女だ。おまえも犬神になりたいか? くっくっく、土に埋められて飲まず食わずでどこまでそんな口がきけるかな? 三日か? 五日か?」
「火怒呂という獣憑きを生業とする一族の話を聞いたことがある」
「…いかにも、わが一族のことだ。だが獣憑きではない、犬神筋と呼べ」
「火怒呂六三。たしかそんな名の呪術師がいた」
「われのことだ」
「だが、妙だ。その呪術師は一年ほど前に死んでいるはずだ。さんざん呪捜部の連中を手こずらせたあげくに、陰陽法にもとづき特別動的霊災として処理された」
「人を霊災として!?」
「そうだ。陰陽庁の連中よっぽど頭にきてたんだろうな、呪捜官が束になって八陣結界で拘束し、その上で修祓処理されたと聞く」

 八陣結界。
 それは祓魔官がフェーズ3以上の霊災に対して使用する遁甲術の大技で、対象を囲むように8人の術者を配置した後。
 呪文を詠唱し術式を発動させることで術者同士を光の線が結び、内部のものを閉じ込める。

「修祓したのがまた十二神将の一人ときたもんだ。国家一級陰陽術師まで出張らせるとは、どんだけやんちゃしたんだって話だよ」

 十二神将。
 国家資格である『陰陽1種』取得者の通称だが、その呼び名の通り十二人いるわけではなく、国内に十数人存在する。
 陰陽師としての腕は超一流であり、現場に出ているものから研究者まで、その活躍の場は様々とされる。

「…………」
「ええと、十二神将の、誰だっけ? 鬼喰らいのなんとかって人」
「鏡だ。鏡伶路(かがみれいじ)……。そいつが、殺したんだ。この、われを。犬神筋の、このわれを!」

 火怒呂の身から殺気が颶風のごとくあふれ出す。
 それだけではない。陰気が、おき
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