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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
憑獣街 1
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 どこか釈然としない。
 ついでに周りも見渡して見る。

(京子の近くに気配が二つ。これは白桜と黒楓だな)
(春虎のやつ、霊力だけはアホみたいにあふれてるなぁ。ダダ漏れじゃないか、もったいない。こんど制御する方法を教えてやるか)
(冬児は身の内になにか潜ませているな。憑依型の式神か? あいつもなかなかどうして、秘密があるみたいだな)
(あ、眼鏡が浮いている……。天馬か)

 生徒たちにくらべて講師たちはさすがに高い霊力を持っている。だがその中でひときわ異彩をはなつ人物が一人。

(……大友陣。あるかなしかのわずかな霊気しか感じないが、故意に、それでいて自然体で隠してやがるな。素でこうなら穏形したらまさに闇夜にカラス、雪にサギ。見つけるのは困難だ)

 講師の大友陣。聞けばもと呪捜官だったそうだが、それにしても気を隠すのが上手い。秋芳が現場で「すれ違った」ことのある祓魔官や呪捜官にも、ここまで巧みな者はいなかった。

 そうこうしているうちに手持ちの符が尽きた。と同時に周りから拍手が起こる。

「二人とも凄いコンビネーション!」
「まるでペアダンスみたいだった!」
「あっという間に射ち落としちゃっじゃない!」

 二人で競っていた呪符投げだが、どうも外野には連携して呪符を投げていたように見えたらしい。
たしかに京子が射ち損じたのを、秋芳がすかさず討ち、その逆のパターンもあったので、はたから見たら、そう見えなくもない。

「…なんか、今の動き、良い感じだったわ。なにかがつかめそう」

 京子は京子で感じ入るところがあるようだ。
「おー、秋芳クンも京子クンも巧みやないの。よっしゃ、ほなせっかく捕縛式を用意したんやし、お次は穏形の実技でもしてみよか? みんな上手く隠れるんやで〜」

 こうして大友の提案で時間いっぱいまで穏形の訓練がなされ、その日の授業は幕を閉じた。





 倉橋家は陰陽道の名門、土御門家の分家であり、主家である土御門家が没落してからは土御門家に代わり呪術界を牽引する役割を担ってきた。
 前当主は多数の陰陽師を世に輩出し続けている陰陽塾の塾長、倉橋美代。
 現当主は陰陽庁の長官と祓魔局の局長を兼任している倉橋源司。
 倉橋家の存在は極めて大きく、こんにちの日本呪術界を代表する一門だ。
 そう、倉橋京子は名門のご令嬢、貴婦人、姫、公主――。
 つまりはお嬢様なのである。
 そんな京子が供もつけずに夜の街を早足に歩いていた。
 時刻は八時前。こんな時間に一人で出歩くことなど珍しい。
 夜間にふらふら出歩くような子ではない京子には、最初から門限などいうものはない。そんなものをわざわざ作る必要などないのだ。
 ちなみに京子は毎朝祖母と共に車で陰陽塾へ通い、帰りも家
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